なぜ障害を持つ方のための就労応援なのか
6月17日から、宇都宮市のポポラにて「一般企業へ就労するための経理セミナー」を開催させていただくわけですが、どうして私が障害を持つ方を対象にこういったセミナーを開こうかと思った経緯を書いてみたいと思います。
それには、「ボランティアに対するスタンス」と「障害を持つ方の就労」の2点について説明すればよいかと思います。
まず、「ボランティアに対するスタンス」から書いてみたいと思います。
昨日(6月3日)の夜のCX系の「世界がもし100人の村だったら」や、つい最近まで議論になっていた「デフレスパイラル」を考えてみてください。
「貧困が更なる貧困を生む」「デフレ(物価下落)が更なるデフレを生む」この2点はほとんど同じ現象で、「抜け出したくても、自力では決して抜け出せない」
経済学では、市場が正常に機能すればインセンティブの作用によりに最大多数の最大幸福が得られると考えます。
しかし、「限られた前提条件からなる経済モデル」ではウマくいくかもしれませんが、実際の社会ではそうウマくはことが運びません。
ですから、こういう環境には小さくてもできることから積極的に関与しなければならないと私は思うのです。
また、税理士と公認会計士を比べるのも何ですが、公認会計士に比べて税理士の社会的発言力が弱い(?←こんなことを書いたら怒られてしまいますかね~)のは、「ボランティアベースで社会的認知度の向上をはかっていないからだ」と、思うのです。
これからどんどん規制緩和が進んでいきますと、「税務の無償独占(有償無償を問わず、税務申告・相談は税理士しか行うことができないとされています)」の維持は難しいと思います。また、弁護士や公認会計士の業務拡大や人口の減少ともなって、今、税理士がマーケットとしてとらえている市場はドンドン狭くなっていくと思います。
サラリーマンで「税理士と接触を持ったことがある」人はどれくらいいるのでしょうか?
「公認会計士との違い」を説明できる人はどれくらいいるでしょうか?
わたしは、「税理士のマーケットが縮まっているのは税理士自身の責任」だと考えています。新しい職域を獲得していくことも大切ですが、まずは、自分たちの職務を市場に理解してもらう努力をしていくべきなのではないかと思うのです。
上記2点の理由から、私はボランティアベースでの活動を大切にしています。
「人のため」などとキレイ事を言うつもりはありません。「情けは人のためならず」で、必ず自分に帰ってくるものですし、それによって「自己実現」ができるために満足感も得られます。
昨日のスタッフの退職に関するコメントにも関連しますが、
・スタッフの満足が無ければ、お客様に十分なサービスは提供できない
・社会的基盤が整わなくては、自分の生活も安定しない
というのが、私の基本的なスタンスなのです。
次に、「障害を持つ方の就労」についてです。
第一に私を含めて、「世間がどれだけ障害者について知らないか」ということを痛感させられます。
私たち税理士が社会的の認知度をあげなければ、マーケットが縮小していってしまうのと同じように、「障害をもつ」ということがどういうことなのかを社会にもっとアピールしなくてはいけない状態にあるように思います。
社会的認知度が低いために、どんなニーズがあるのか伝わらない⇒結果として市場原理が働かない
ということです。
(最近出版された「障害者の経済学」中島隆信著にこういった話が詳しく書かれています)。
社会的認知度を上げていくためには、「一緒に働く」ということも一つの方法です。
また、もう一点は、日本という地下資源の限られた国では「人間が生み出す付加価値」だけが生きていく術なのだと思います。
ですから、「働ける状態にある人は働く」ということが非常に大切なのだと思います。それは健常者も障害者も同じだと思います。
しかし、たまたま知識を得る機会がなかったために働きたい職業に就けない場合もあると思います。そんな方のために、先ほどの「デフレスパイラル」と同じように、「抜け出すきっかけ」みたいなものを提供できたらよいなと思うのです。
「働くことによって得られる自信」って大きいと思うのです。お金をもらうことによって得られる自信もありますが、何よりも社会に貢献しているという自信が大きいと私は思います。
自立支援法は「筋の通っていない(というよりは過渡的な法律というにおいがプンプンする)」制度ですので、好きではありませんが、私にとって「自立」とは何なのかを考える良い機会になりました。「自分の意志を持つこと」が「障害者の経済学」には書かれていました。「自立できる人は自立する」ということは、社会的にも意味のあることだと思います。
私の奥さんは、職にこそ付いていませんが、ホームヘルパーの資格を持っています。障害者に対するボランティアといいますと、一般的には「実生活に直接的に寄与」するものをいうことが多いと思います。
しかし、私は、もともと気が利くほうではありませんので、こういったお手伝いをすると帰って御迷惑をかけてしまいそうで、とても心配なのです。かといって、経理セミナーは迷惑をかけないのかといいますと、やはり行き届かないところから御迷惑をかけてしまっているのかもしれません。
一番得意なことですので、その分相手に伝わるメリットが多いのではないか と思いますので、経理講座という形で関与させていただくのが一番かな~と考えたのです。
経理の仕事は奥が深いのですが、間口も相当広いのです。パソコンが使えて少々の知識があれば、とりあえずの「知り合いの会社の会計処理程度」はできるようになります。
ちょっとやってみていただいて、その面白さが分かって、きっかけさえつかめれば、自然と勉強したくなりますし、経験をつめば信頼もされますので、とてもやりがいのある仕事だと思います。
数字が嫌いでなければ、障害者・健常者を問わず、多くの人にお勧めしたい仕事だと思います。
パソコンの普及によってコミュニケーション手段が飛躍的に向上し、障害を持つ方の生活はかなり変わってきたのではないかと思います。
そのパソコンを使うことによって「仕事」ができるようになっていただく事が私の希望なのです。
