会計に関するスタンス
会計について説明する前に、私の経営感について若干説明したいと思います。まず経営とは、イノベーションによってより利益率の高い売り方や商品を開発すると共に、リスクを適切に管理し、利益を最大化することであると考えています。
まずは、経営の優先順位についてですが、以下のように考えています。
営業>商品>組織>財務
つまり、いくら商品が良くてもそれを販売する力がなくては、経営は成り立たない。組織が良くても売れる商品がなければ経営は成り立たない。財務や経理がしっかりしていても、社員がきちんと動けなければ経営は成り立たない、ということです。(しかし、言うまでもありませんが、どれが欠けても経営は成り立ちません。)
私は、今、多くのお客様が、会計事務所に求めている「コンサルティング」に関しても、上記の順序で行うことが好ましいと考えています。
しかし、私たちは税務と会計のプロですので、販売の方法や市場調査、売れる商品、組織論・給与体系などをお客様に指導することはできません。長い間このことに、私は業務の限界を感じ、悩んできました。周辺知識を身につけようと、色々な勉強を重ねてきましたが、どれも実践が伴わない机上の空論の知識ですので、私より経験豊かで、見識のある中小お客様の社長たちに納得をしていただけるようなレベルには達しませんでした。
そこで、私は視点を変え、私たちに何を求めているのかを考えてみました。その結果、私たちは数字のプロだから、「財務や経理などの数字上からわかるプロの意見」を求めているのではないかと仮説を立て、以前から得意であった、表計算ソフトの機能を最大限に生かした利用や数学・統計学を駆使した経営分析を行い、お客様に分析結果又は将来の予測を提示してみました。すると、お客様の感覚や勘とのずれを認識するのに非常に役立つことがわかり、高い評価を頂くことがでたのです。
従来からある経営分析は、上場お客様の投資判断をするためのものですから、恣意性の介入する中小お客様には当てはめられないことが多いのです。また、各種経営指標は平均値のみで示されることが多いため、(盲目的に)これらの指標に従うことは最も平均的で、お客様のオリジナリティーを失わせることにもなりかねません。ですから私たちは、お客様の日常の経理の資料や財務諸表からそれぞれの状況を分析し、どの経費が売り上げにつながっているのか、何が利益につながっているのかをお客様に示していくことが大切なのではないかと思います。例えば、コストの削減が販売機会の喪失につながってしまうことがあります。各企業別の分析を行わず、経営指標による平均値に基づいたアドバイスを行っていると、このようなことが起こり得るのです。
続いて、会計についての基本的な考え方を示していきたいと思います。お客様会計はリスクの測定そのものと考えております。したがって、精緻に行えば、よりリスクを正確にとらえることができますが、問題はそのリスクが過去のものであり、得られた利益も過去のものであるという所にあります。ですから私は、会計処理は、お客様にリスクとリターンを理解していただいた上で、その規模や経営のバランスを私たちが診断し、適切なコストをかけ行なって頂くことが大切だと考えております。
すなわち、「同一コスト・同一担当者」においては、経理処理のスピードと正確性は反比例しますので、スピードを上げるには正確性を犠牲にするか人数を増やすかしなくてはなりませんし、正確性を維持するためには、スピードを犠牲にするか、人数を増やすしかないわけです。私たちは、この点について注意して、お客様にアドバイスをする必要があります。
ところで、管理という話になると、すぐにパソコンで処理すれば、正確でローコストで早い、と考えるお客様が多いのですが。実際には、パソコン自体の値段は下がりましたが、ソフトウェアはまだまだ高価であり、肝心の処理するのは人間ですので、社内的なルールの確立、入力担当者の育成と色々コストがかかりますので、トップダウン型の投入で、かなり確りした意志を持って進めていかないと、ローコストにつながるというところまで持って行くのは難しいという現状があります。これも費用対効果を考え、適切に導入を図らないと、結局は今まで手書きで行っていたものをプリンターで、きれいに出力ができるというレベルに陥ってしまうのです。
一方で、会計処理は、その発生原因から遠い人が処理するほど、また、発生時点から時間が経つほど、資料のタイムリーさ、正確性・証拠能力は小さくなっていきます。私は何が何でも自計化とは考えていません。しかし、お客様に会計処理のアウトソーシングをするというリスクについては、よく説明して理解していただくようにしております。
