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2007年08月25日

「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリスト

accheck1_2.jpg 今年になって、税理士法33条の2の書面添付の他にもう一点取り組み始めたことがあります。それが標題にある「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリストです。

これは、平成17年8月に日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会が主体となって公表した、中小企業が計算書類を作成するに当たり拠ることが望ましい会計処理を示した「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリストです。

チェック項目は後述しますが、要するに決算書の数字は、税理士が何をどの程度確認して作成したものであるかをチェックしたかという書類です(決算内容が良いか悪いかの通信簿ではありません)。

このチェックリストによる、お客様のメリットは「銀行からの信頼です。

現在、多くの金融機関において、このチェックリストを活用した融資商品が取り扱われています。また、信用保証協会においても、保証料率の割引の際の必要書類として利用されています。

以前は、頼まれたお客様のみに作成していましたが、これを私の担当する全てのお客様の決算書に添付させて頂くことにしました。

なぜ、銀行からの信頼が得られるかというと、税理士会などが積極的に金融機関や信用保証協会に働きかけているというのが、直接的な理由です。

先日仲よくしている銀行さんから、「先生の付けているあのチェックリストは良いですね」と、直接好意的な反応を頂けたので、これは記事にしなくてはと思いました。

 

しかし、なぜ私が全てのお客様の決算書に添付しようと決めたかというと、これは決算書を作る際の「前提条件リスト」に他ならないと考えたからです。

決算書には売上高や経費・現金残高等の数々の情報が載っています。

しかし、それらの数値がどのような根拠で計上されたものかは書いてありません。

それは会計のルールにのっとって作成されたという暗黙の了解があるからです。

 

しかし、会計のルールを誰が分かっているというのでしょうか?

大多数の方がご存知ないはずです。

だからこそ、この職業が成り立っているのだと、私は考えています。

会計のルールは少なくとも簿記1級をとれるレベルまで勉強しなければ身につきません。

また、知識を持っていたとしても、そのルールが守られているかどうかは別の問題です。

 

正直にお話しすると、このチェックリストの基準を満たせなくて、×となる項目があるお客様もいます。

会計のルールを守るのと守らないのとどちらがよいのか?と聞かれれば、「守る以外にありません。」と立場上答ざるを得ません。

しかし、書類の整備状況や財務体質・過去の経緯から、必ずしも会計のルールに則ることができることばかりではありません。

 

また、今までは「税務会計」という言葉があるとおり、税法を基準にした会計もある程度は認められてきました。

例えば、法人税法では「減価償却費」の計上は任意なので、利益がでた事業年度は減価償却をして利益を圧縮、逆に赤字の年は減価償却をしない。等ということが行われてきました。 

その結果、中小企業の決算書の信頼は著しく低いものになってしまいました。

極限すると「銀行は中小企業の決算書を全く信用していない」という状態にまでなってしまっています。

 

そこで、税理士が「確認したものはした」「確認していないものを確認していない」とハッキリ示すことによって、「全部が疑わしい」という状態を脱却できると私は考えたのです。

ですから、「×」があっても良いのです。

どういう前提条件で作成されたかをハッキリ示すだけで効果があるのです。 

 

前提条件をハッキリさせるというのは、私の好きな「分析」や「シミュレーション」を行う際には必須の行為です。

例えば、決算予測をする際に「去年と同じ条件であれば」というような前提条件がない数値は、根拠がないのと同じということです。

もっと分かりやすくいうならば、「前提条件の分からない決算書は成分表示の無い食品と同じ」ということです。

良きにすれ悪しきにすれ、前提条件をきちんと示さなくては検討の壇上に上がらないということです。

しかし、成分を正しく示されているならば、後は消費者の判断ということになります。

 

例えば、牛肉を買う際に「国産か米国産か」それを選ぶのは消費者が選べばよい。

しかし、牛肉に何処産か書いてなければ、誰も牛肉を買わなくなります。

 

実はこの取り組みも基本的は「統計ばかりやって事務所お客様に目が向いていない」と言われないため方策の一つです(笑)。

 

[参考]チェック項目

・残高証明書又は預金通帳等により残高を確認したか。   
・手形割引時には、手形譲渡損を計上したか。   
・営業上の債権のうち、破産債権等で1年以内に弁済を受けることができないものは、投資その他の資産の部に表示したか。   
・営業上の債権以外の債権で、その履行時期が1年以内に到来しないものは、投資その他の資産の部に表示したか。   
・関係会社に対する金銭債権は、項目ごとの区分表示又は注記をしたか。   
・受取手形割引額及び受取手形裏書譲渡額は、注記したか。   
・デリバティブ取引による正味の債権債務で時価評価すべきものは、時価で評価したか。   
・法的に消滅した債権及び回収不能な債権は、貸倒損失を計上し債権金額から控除したか。 
・取立不能のおそれがある金銭債権について、取立不能見込額を貸倒引当金として計上したか。  
・貸倒損失・貸倒引当金繰入額等について、発生の態様に応じて損益計算上区分して表示したか。   
・有価証券を、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式、その他有価証券に区分して評価したか。  
・売買目的有価証券は、時価を貸借対照表価額とし、評価差額は営業外損益としたか。  
・市場価格のある有価証券を保有する場合、それが多額であるか否かによって適正に処理したか。   
・市場価格のある有価証券について、時価が取得価額より著しく下落した場合(50%程度以上下落した場合等)で、かつ、将来回復の見込みがないときは、時価で評価し、評価差額は特別損失に計上したか。  
・市場価格のない有価証券について、その発行会社の資産状態が著しく悪化した場合(株式の実質価額が取得原価より50%程度以・上下落した場合等)は、相当の減額をし、評価差額は当期の損失として処理したか。   
・最終仕入原価法を採用する場合、期間損益計算上著しい弊害がないか。   
・原価法を採用している棚卸資産について、時価が取得原価より著しく低く、かつ、回復の見込みがないときは、時価で評価したか。
・前払費用と前払金、前受収益と前受金、未払費用と未払金、未収収益と未収金は、それぞれ区分し、適正に処理したか。(*)
・立替金、仮払金、仮受金等の項目のうち、金額の重要なもの及び当期の費用又は収益とすべきものは、適正に処理したか。
・減価償却は経営状況により任意に行うことなく、継続して規則的な償却を行ったか。
・適用した耐用年数等が著しく不合理となった場合等には、耐用年数又は残存価額を修正し、これに基づいて過年度の減価償却累計額を修正し、修正額を特別損失に計上したか。
・予測することができない損失が生じたときは、相当の減額をしたか。
・固定資産の使用状況に大幅な変更があった場合には、減損の可能性について検討したか。
・研究開発に該当するソフトウェアは研究開発費として費用処理し、また、研究開発に該当しない社内利用のソフトウェアは無形固定資産に計上したか。
・繰延資産は、会社法上の繰延資産として計上することが適当であると認められるものであり、当期の償却を適正にしたか。
・税法固有の繰延資産は、投資その他の資産の部に長期前払費用等として計上し、支出の効果の及ぶ期間で償却を行ったか。
・金銭債務は網羅的に計上し、債務額を付したか。
・借入金その他営業上の債務以外の債務で、その支払期限が1年以内に到来しないものは固定負債に表示したか。
・関係会社に対する金銭債務は、項目ごとの区分表示又は注記をしたか。
・デリバティブ取引による正味の債権債務で時価評価すべきものは、時価で評価したか。
・将来発生する可能性の高い費用又は損失が特定され、発生原因が当期以前にあり、かつ、設定金額を合理的に見積ることができるものは、引当金として計上したか。
・法的債務性があるものは、未払費用等として計上したか。
・役員賞与は、発生した事業年度の費用として処理したか。
・確定給付型退職給付制度(退職一時金制度、厚生年金基金、適格退職年金及び確定給付企業年金)を採用している場合は、退職給付引当金を計上したか。
・中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度及び確定拠出型年金制度を採用している場合は、毎期の掛金を費用処理したか。
・新たな会計処理の採用に伴う影響額を定額法により費用処理した場合には、末償却の金額を注記したか。
・法人税、住民税及び事業税は、発生基準により損益計算書に計上したか。
・決算日後に納付すべき税金債務は、流動負債に計上したか。
・受取配当・受取利息に関する源泉所得税のうち税額控除の適用を受ける金額は、法人税、住民税及び事業税に含めたか。
・決算日における未払消費税等(未収消費税等)は、未払金(未収入金)又は未払消費税等(未収消費税等)として表示したか。
・繰延税金資産又は繰延税金負債を計上していない場合、一時差異の金額に重要性がないことを確認したか。
・繰延税金資産を計上している場合には、厳格かつ慎重に回収可能性を検討したか。
・繰延税金資産及び繰延税金負債を計上している場合は、その主な内訳等を注記したか。
・純資産の部は株主資本と株主資本以外に区分し、株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金に区分し、また、株主資本以外の各項目は、評価・換算差額等及び新株予約権に区分したか。
・収益及び費用については、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用を計上したか。
・原則として、収益については実現主義により、費用については発生主義により認識したか。
・外貨建取引は、取引発生時の為替相場による円換算額により記録したか。 
・外国通貨には、決算時の為替相場による円換算額を付したか。 
・外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)について、原則として、決算時の為替相場による円換算額を付したか。 
・子会社株式及び関連会社株式について、取得時の為替相場による円換算額を付したか。 
・株主資本の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額がある場合は、当期変動額を変動事由ごとにその金額を表示したか。 
・株主資本以外の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額がある場合は、当期変動額を純額で表示したか。 
・発行済株式及び自己株式について、その種類及び株式数に関する事項を注記したか。 
・剰余金の配当について、当期中の支払額及び翌期の支払額を注記したか。
・重要な会計方針に係る事項について注記したか。
・会社の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項を注記したか。 
・当期において会計方針の変更等があった場合には、その内容及び影響額 
・当期において組織再編等があった場合には、その内容及び影響額 
・上記以外の「中小企業の会計に関する指針」の項目について適用状況を確認したか。

 

[参考]

日本税理士会連合会/税務情報/中小企業の会計に関する指針 
税理士法33条の2の書面添付

 

 

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投稿者 松波 竜太 on 2007年08月25日 20:01

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