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2010年04月03日

インフレで失業率を改善できるのか

賃金には下方硬直性(下がりにくい)という特性があるため、デフレ時は企業に、賃下げよりも解雇や新規雇用の抑制と言った行動をとらせることは周知の事実です。

経済学的な説明は次の通り。

物価下落→給料下げたい→給料は下げにくい→新規雇用を抑制しよう

 

では、逆にインフレになれば、雇用は改善するのでしょうか。

経済学の教科書には次のような説明があります。

物価上昇→給料は上げなくてもまあいいか→その代わり新規雇用を進めよう

つまり、インフレは失業率低下させるということです。

実はこの議論は、「アニマルスピリット」の著者、アカロフも主張しています。

 

しかし、私にはこの議論がどうもしっくり来なかったのです。

なぜかと言うと、この議論は「Aが真ならB」 でも、必ずしも「Bが真ならA」が成り立つとは限らないからです。

 

たしかに、インフレ率と失業率には負の相関関係にあります。 それがフィリップス曲線です。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フィリップス曲線は一般的に縦軸にインフレ率、横軸に失業率をとります。

上図もほぼきれいな直線を描いており、両者に相関関係があることがわかります。

 

ところが、これを時系列に並べると違った結果が見えてくるのです。

 

1980年から2008年までの失業率とインフレ率を時系列に並べてみました。

失業率は労働局のデータ、インフレ率は名目GDP上昇率(対前年)から実質GDP上昇率を差し引いたものを使っています。

なお、失業率も対前年に修正してあります。

infure00.jpg

(↑クリックすると大きくなります)

 

このグラフで、一見するときれいに波形が揃っているように見えますが、注目すべきは、失業率低下の方がインフレ率上昇よりも先に起こっていることが分かります。

つまり、過去のデータからはインフレが失業率を低下させる要因なっているとは言い難いということになります。

逆に、失業率を低下、つまり、雇用が確保され、安定的な生活が保証されてこそ、購買意欲が湧いてきて、消費が促進した結果インフレが起こっている可能性の方が高いのではないかと思うのです。

 

雇用確保なきインフレは一般消費者の首を締めるだけかもしれません。

社会的実験も必要かと思いますが、何もこの100年に一度の経済危機の時にせずとも、もう少し余裕のある時に試せば良いのではないでしょうか?、

 

また、相関関係と因果関係は別物だということがここでも分かりました。

グラフ化して目で確認する。 

違う角度で視覚化できないか検討する。 

基本的なことですが、大切な事ですので常に心がけたいものです。

 

 

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投稿者 松波 竜太 on 2010年04月03日 14:08

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