経営に関する真実
あすのことはわからない、ということを覚悟することが、いちばん正しい未来の予想なのである。
「元気」(五木寛之、幻冬舎)
この言葉の通りです。
このブログでは、「統計的手法を使って未来を予測する」 ということが、一つのテーマになっています。
しかし、平成20年後半からのサブプライム問題→リーマン・ショックを誰が予測できたでしょうか?
経済の専門家は?
また、最近の株価の毎日の変動。
新聞では、毎日、変動の原因について、勝手な解釈をつけて記事にしています。
私の思うところでは、「あすのことはわからない」ではなく、「今起こっていることすらわからない」 がより正しい表現です。
人それぞれの個体には、それぞれの行動原理や因果関係などがあります。
しかしそれを、集団としてとらえる場合、特に、経済的活動などのような場合、その傾向を解釈することは、面白いとは思いますが、解釈したところで、未来の予想には役に立ちません。
特に、経営に関していえば、結果に影響するパラメータが多く、それぞれの要因の確率分布を知ることは不可能です。
だから、次期どころか、当期末までさえ、かなり不完全な予測しか出来ない粗雑で不正確なモデルしか作ることは出来ません。
とはいえ、不完全な予測しか出来なくても、何も無いよりはマシであることが多く、実用的価値は大きいのだと思います。
また、だからこそ、「過去の趨勢をじっくり考察」し、ある特定の数値をマーカーと仮定して「仮説・検証」を繰り返す。
実験的経営を行うしかないというところが真実なのだと思います。
騙されないで下さい! 「成功の法則」など絶対にありえません。
また、成功しているかどうかを数字上で確認することはとても難しいし、もしかすると、不可能かもしれません(今まで成功を数字で確認できた人はいないはずです)。
「宝くじに当たる法則」 という、本やセミナーがあっても、賢明な経営者は参加しませんよね?
ところが、題名が「宝くじに当たる」から「経営の成功」に当たっただけで、まともな本・セミナーに感じてしまうものなのでしょう。
確かに、世の中には成功者はいます。また、事業における成功者の出現確率は宝くじに当たる確率とは比べ物にならないほど高い(注)。だからこそ、「私だって」と勘違いをしてしまうのでしょうし、「あなたにも」と誘いやすいのでしょう。
しかし、結果に影響するパラメータが多く、それぞれの要因の確率分布を知ることは不可能ということを考えると、事業における成功と宝くじの当選とは、本質的な性質的に変わりありません。
こちらを参照してください→卵が先かニワトリが先か
しかし、こうすれば絶対に失敗するという法則はあります。
それに、失敗は「破綻」という形で数字に表れます。
だから、せめて、クライアントが失敗の法則にのらない様に、その傾向が数字に表れてきたときには、それをお知らせする。
それが、私の使命であり、職業的本分であると、私は考えています。
注: ドリームジャンボ宝くじの1億円以上の確率は333万分の1、所得1億円以上は個人・法人あわせて114分の1(97,300 /11,086,356)(平成18年の国税庁資料による)。宝くじは外れても1枚あたり300円の損失です。事業者は3億円以上の所得を得ることもあり ますが、大きな損失を被ることもあります。また、宝くじは誰でも買えますが、経営者には、それなりの覚悟を持った人しかいません(はず?)。従って、単純 な確率の比較はできません。
