異常値と変化点の整理
私たち会計人にとっては、伝票や総勘定元帳等をみることによって、イレギュラーな取引(異常値)を見つけることは非常に重要な仕事の一つです。
イレギュラーな取引は、税務や会計上、確認が必要な取引であったり、把握しておくべき経営上の変化点を示していたりするからです。
しかし、私たちはほとんど勘に頼って区別をしているはずです。
換言すると「たまたまの取引」は「たまたま」発見できていると言っても過言ではないのです。
ここでは改めて、イレギュラーな取引の類型を整理してみたいと思います。
異常値を発見するためには、①前期比較 ②月次推移比較 の2つの方法が一般的であり、かつ、これらの方法で大抵のものを発見できます。
①は、2期分の試算表または元帳を並べ、「前期も同じような取引があったのか」または「異常な推移を示していないか」といった方法です。②は、月次損益推移表から、前月との対比を初めとして、前後、12~24ヶ月の推移から異常値を見つける方法です。
①、②ともに、(A)勘定科目の合計値で検討する (B)補助科目を設定して細かく検討する (C)元帳の摘要を含めて各取引から検討する、という3つの方法が考えられますが、どの方法も一長一短がありますので、できればこれらを組み合わせて検討することが望ましいといえます。
1.イレギュラーな取引
(1) 一度しかない取引

(例) 不動産の売買
(2) いつもあるべきものがない

(例) 取引の計上漏れ、支払い忘れ
(3) あるべき順序で並んでいない

(4)通常より高い値

(例) 突発的な修繕費修繕費、2重計上、2重払い
(5)通常より低い値

(6)定期的な取引で、あるべき時期に発生が無い
(例) 取引の計上漏れ、支払い忘れ、季節調整後の値の異常
(7)定期的な取引で、あるべき時期ではないときに発生がある

(例) 月末が土日をはさんだ場合の支払のずれ
(8)性質の異なる取引の混入

(例) 勘定科目間違い
(9)正の値をとるべきものに負の値

(10)負の値をとるべきものに正の値

(11)連動して増減すべきものが連動していない

(例) 売上と仕入、給与と法定福利費
(注) (2)(5)(6)はにていますが、(2)が取引の有無を表しているのに対して、(5)は金額の大小を対象としています。また、(2)は連続した取引の不発生であるのに対して、(6)は断続的な取引の不発生を意味しています。考え方の整理をしたかったので、敢えて分けていますが、これらを同じものと考えてしまっても全く差し支えありません。
2.変化点
(1)取引の開始

(例) 新たな不動産賃貸契約、新規得意先との取引開始
(2)取引の終了
(3)増額

(4)減額

(5)増加していたものが減少

(6)減少していたものが増加

(7)増加していたものが一定に

(8)減少していたものが一定に

(9)増加率の変化

(10)減少率の変化

(注) (5)~(10)は、増加(減少)率の変化とまとめることができるますが、明示的に分けてみました。
3.数字に表れない異常
(1)他社と比較した異常
自社内の取引だけみて検討しても発見できません。例えば、「異常に高額な役員報酬」等がこれに該当します。
(2)概念的な異常
例えば、営利法人が特定の者に対して、多額の寄付や接待をするなどがこれに該当します。
