HOME >> 数字にこだわる >> 異常値と変化点の整理

2008年12月01日

異常値と変化点の整理

私たち会計人にとっては、伝票や総勘定元帳等をみることによって、イレギュラーな取引(異常値)を見つけることは非常に重要な仕事の一つです。

イレギュラーな取引は、税務や会計上、確認が必要な取引であったり、把握しておくべき経営上の変化点を示していたりするからです。

しかし、私たちはほとんど勘に頼って区別をしているはずです。

換言すると「たまたまの取引」は「たまたま」発見できていると言っても過言ではないのです。

ここでは改めて、イレギュラーな取引の類型を整理してみたいと思います。

 

異常値を発見するためには、①前期比較 ②月次推移比較 の2つの方法が一般的であり、かつ、これらの方法で大抵のものを発見できます。

①は、2期分の試算表または元帳を並べ、「前期も同じような取引があったのか」または「異常な推移を示していないか」といった方法です。②は、月次損益推移表から、前月との対比を初めとして、前後、12~24ヶ月の推移から異常値を見つける方法です。

①、②ともに、(A)勘定科目の合計値で検討する (B)補助科目を設定して細かく検討する (C)元帳の摘要を含めて各取引から検討する、という3つの方法が考えられますが、どの方法も一長一短がありますので、できればこれらを組み合わせて検討することが望ましいといえます。

 

1.イレギュラーな取引

(1) 一度しかない取引

ireg01.jpg
(例) 不動産の売買

(2) いつもあるべきものがない

ireg02.jpg
(例) 取引の計上漏れ、支払い忘れ

 

(3) あるべき順序で並んでいない

ireg03.jpg

(4)通常より高い値

ireg04.jpg
(例) 突発的な修繕費修繕費、2重計上、2重払い

(5)通常より低い値

ireg05.jpg

(6)定期的な取引で、あるべき時期に発生が無い

ireg06.jpg

(例) 取引の計上漏れ、支払い忘れ、季節調整後の値の異常

(7)定期的な取引で、あるべき時期ではないときに発生がある

ireg07.jpg

(例) 月末が土日をはさんだ場合の支払のずれ

(8)性質の異なる取引の混入

ireg08.jpg
(例) 勘定科目間違い

(9)正の値をとるべきものに負の値

ireg09.jpg

(10)負の値をとるべきものに正の値

ireg10.jpg

(11)連動して増減すべきものが連動していない

ireg11.jpg
(例) 売上と仕入、給与と法定福利費

 

(注) (2)(5)(6)はにていますが、(2)が取引の有無を表しているのに対して、(5)は金額の大小を対象としています。また、(2)は連続した取引の不発生であるのに対して、(6)は断続的な取引の不発生を意味しています。考え方の整理をしたかったので、敢えて分けていますが、これらを同じものと考えてしまっても全く差し支えありません。

 

2.変化点

(1)取引の開始

ireg21.jpg
(例) 新たな不動産賃貸契約、新規得意先との取引開始

(2)取引の終了

ireg22.jpg

(3)増額

ireg24.jpg

(4)減額

ireg23.jpg

(5)増加していたものが減少

ireg25.jpg

(6)減少していたものが増加

ireg26.jpg

(7)増加していたものが一定に

ireg27.jpg

(8)減少していたものが一定に

ireg28.jpg

(9)増加率の変化

ireg29.jpg

(10)減少率の変化

ireg30.jpg

(注) (5)~(10)は、増加(減少)率の変化とまとめることができるますが、明示的に分けてみました。


3.数字に表れない異常

(1)他社と比較した異常

自社内の取引だけみて検討しても発見できません。例えば、「異常に高額な役員報酬」等がこれに該当します。

(2)概念的な異常

例えば、営利法人が特定の者に対して、多額の寄付や接待をするなどがこれに該当します。

 

 

arrow_tenmetsu_d_r.gifをクリックするとtwitterでこの記事をつぶやくことができます!
Twitterに投稿♪

ブログランキングに参加しています。
この記事はお役に立ちましたでしょうか?
arrow_tenmetsu_d_r.gifをクリックして下さるとランクアップ!
いつも応援ありがとうございます。

banner_13.gif

投稿者 松波 竜太 on 2008年12月01日 00:22

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://maznami.biz/mt-tb.cgi/243

コメントを投稿

【数字にこだわるカテゴリーの関連記事】

データ分布は正規分布にしたがっているか
決算月の決め方
経営に関する真実
異常値と変化点の整理
収支分岐点(3)
収支分岐点(2)
経営の偏差値を知る
収支分岐点
平均の使い方を誤っていませんか?
【雑誌連載】 第6回 売上予測シミュレーションと業務適用時の注意点
【雑誌連載】 第5回 季節調整値を求める・異常値を論理的に効率的に見つける
【雑誌連載】 第4回 重回帰分析を使って次の一手を見つける
【雑誌連載】 第3回 標準偏差・相関係数の実務への応用と回帰分析
【雑誌連載】 第2回 これだけは押さえておきたい統計の基礎
【雑誌連載】会計データの分析は『統計解析』の視点から!
中途社員の給与の決め方
広告宣伝や接待の効果を知るには(先行指標を探す)
今後30年以内に震度6以上の揺れをもたらす地震の確率
12ヶ月サイクルの変動と考えてよいか調べる
先月よりも業績は良かったのか ( 季節調整値を求める )
生命保険を利用すべきか再投資すべきか
交通事故の確率
評論家になってはいまいか!
(過去の実績)お客様と一緒に考える
人間社会には物理の法則とは違う部分がある
中小企業のシェア
世帯貯蓄額(家計調査)で気になったこと
手許現金の設定
業績予測をする場合の注意点

サンプル数がいくつあれば正確なデータとなるのか
税務職員1人当たり法人数(東京都)
税務職員1人当たり個人数(埼玉県)
税務職員1人当たり法人数(埼玉県)
パートさんの手取りが逆転するポイント・復活するポイント
首都圏郊外の人口動態予測
重回帰分析がうまくいかない場合
失敗事例
どの得意先に売ったら儲かるのか
売上増加の秘密を探る
計算結果から因果関係を推測する
期待する分析結果が出ない場合もある
エクセルで「売上や販管費」の相関分析をする際の会計ソフトの設定上の注意点
エクセルで「利益⇔売上・販管費」の相関分析をする
エクセル「分析ツール」を準備する
会計ソフトから月次推移データをエクスポートする
データ分析を意識した会計データ入力のコツ
販売ソフトから導入しましょう
会計ソフト初期設定のコツ
月次推移を出力するのに適した会計ソフト
大切なのは仮説を立てて実地検証してみることです
中小企業に役立つ経営分析とは?
財務分析の限界
日別 家計支出 3年平均
<数字にこだわる>カテゴリの説明

« 一つ前のエントリーへ | メイン | 次のエントリーへ »

このエントリーを友達に紹介する!

友達のメールアドレス:

あなたのメールアドレス:

メッセージ(オプション):