HOME >> 数字にこだわる >> 平成20年版 税額最小役員報酬

2008年05月04日

平成20年版 税額最小役員報酬

yakuinhoushu1904.jpg平成19年度の税制改正を加味したシミュレーションを行いました。

平成18年度において、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入対策と称して行ったシミュレーションの続編になります。

平成19年度に行われた主な改正点は以下のとおりです。 

  • 同族会社の留保金課税制度について、適用対象から中小企業(資本金等が1億円以下の会社)を除外する。
  • 実質的な一人会社(特殊支配同族会社)のオーナーへの役員給与の一部を損金不算入とする制度について、適用除外基準である基準所得金額を1,600万円(現行800万円)に引き上げる。

いずれも、法人税については減税効果のある改正となっています。

 

シミュレーション結果を一言で表すとするならば(正確さには欠けますが)、

役員報酬は110万円以上にするな!

です。 

 

冒頭のグラフは各可処分所得に対する税額最小の役員報酬表しています。

以下、表にまとめます。

 

可処分利益役員報酬月額会社利益会社税金等個人税等税総額
1,000,000100,000
-200,000139,176
148,676
287,852
5,000,000
300,000
1,400,000
708,928
653,828
1,362,756
10,000,000
300,000
6,400,000
2,229,628
653,828
2,883,456
15,000,000
500,000
9,000,000
3,244,500
1,240,180
4,484,680
20,000,000
700,000
11,600,000
4,426,950
2,002,850
6,429,800
25,000,000
900,000
14,200,000
5,568,850
2,738,780
8,307,570
30,000,000
1,100,000
16,800,000
6,711,250
3,592,850
10,304,100
35,000,000
1,100,000
21,800,000
9,782,050
3,592,85013,374,900
40,000,000
1,100,000
26,800,000
11,868,150
3,592,85015,461,000
45,000,000
1,100,000
31,800,000
13,954,350
3,592,85017,130,000
50,000,000
1,100,000
36,800,000
16,040,450
3,592,85019,633,300
55,000,000
1,500,000
37,000,000
16,255,570
5,584,550
21,840,120
60,000,000
1,900,000
37,200,000
16,438,870
7,575,170
24,014,040
65,000,000
1,100,000
51,800,000
22,739,250
3,592,850
26,332,100
70,000,000
1,100,000
56,800,000
24,868,550
3,592,85028,461,400
75,000,000
1,100,000
61,800,000
26,997,850
3,592,85030,590,700
80,000,000
1,100,000
66,800,000
29,127,150
3,592,85032,720,000
85,000,000
1,100,000
71,800,000
31,256,450
3,592,85034,849,300
90,000,000
1,100,000
76,800,000
33,385,750
3,592,85036,978,600
95,000,000
1,100,000
81,800,000
35,515,050
3,592,85039,107,900
100,000,000
1,100,000
86,800,000
37,644,3503,592,850

41,237,200


 

 

計算結果をみて、今回もビックリしました…

皆様もご覧になってきっと驚かれるのではないでしょうか?

 

前回(特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入対策) も、税額最小となる役員報酬が実感と比べて結構小さかったので、驚いたのですが、今回はさらにそれを上回っています。

一番の理由は留保金課税適用対象から中小企業が除外されたことです。

 

表とグラフと元に分析結果を説明します。

(1) 可処分所得1,200万円以下

 法人課税所得800万円以下の中小企業の優遇税率の恩恵を受けられる、可処分所得1,200万円以下のゾーンにおいては、税額が最小となる役員報酬は月額30万円になります。

(2) (1)を超え2,800万円以下

 法人課税所得800万円超となるこのゾーンにおいては、「特殊支配同族会社の損金不参入」制度の適用を受けないように、役員報酬を可処分所得の1/2以下に抑えるのがポイントになります。条件を満たすように、税額が最小となる役員報酬は可処分所得とともに緩やかに上昇します。

(3) (2) を超え5,100万円以下

 可処分所得5,100万円以下においては、役員召集を月額110万円に設定することにより、法人税率が個人の所得税率を下回ります。言い換えると、役員報酬年額1,320万円を超える税金等負担率は、法人税率よりも高いということになります。

(4) (3) を超え6,300万円以下

 法人(国)税額が1,000万円以上になると、法人住民税の税率が上がります。可処分所得が5,100万円を超えて、6,300万円以下のこのゾーンにおいては、役員報酬月額を110万円に設定すると、法人税率のほうが高くなってしまいます。可処分所得に応じて、役員報酬月額を大きくすることにより、これを回避することができます。

 このゾーンでは役員報酬月額が110万円を超えることになります。しかし、このゾーンにおいて、役員報酬を110万円にした場合の最大(機会)損失は、最大で256,670円で税額に対する影響は1.25パーセントに留まります。

(5) 6,300万円超

 可処分所得が6,300万円を超えると、完全に法人税率が個人の所得税率を下回るので、再び、役員報酬を月額110万円に設定することによって、税額が最小となります。

 

いかがでしょうか?

私であれば、(4)のゾーンにおいても、税額に対する機会損失と、役員報酬の設定に失敗したときの税負担の増加のリスクを比較し、役員報酬設定を110万円にすることを勧めると思います。

 

繰り返しになりますが、留保金課税が中小企業において適用除外となったことが理由です。

そしてこれは、ここ十数年間において「節税策」としてとられてきた、「役員報酬」を調整することによる「社外における実質的内部留保」策に意味がなくなったということを意味しています。

 

中小企業の皆様

これからは、しっかりと「内部留保」を心がけましょう。 

 

前回のシミュレーションとは若干前提条件を変えました。

前提条件は以下のとおりです。 

前提条件 
・法人税計算上の課税所得は計算を簡略化しています 
・事業税は軽減税率適用法人を前提としています 
・住民税率は標準税率を適用しています 
・住民税均等割は計算の考慮に入れていません
・個人税の中には「社会保険料」が入っています 
・事業税の外形標準課税適用法人を対象としていません 
・社会保険加入法人を対象としています 
・所得税の計算においては、給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除以外の控除は考慮しません
・社会保険料は介護保険なしとしています
・各計算の簡略化のため、端数処理が実際の計算とは異なることがあります
・事業税の減税効果を法人税の計算上考慮しました
・所得税の税率はH19.1.1現在のものを使用しています

 

[関連記事]

役員報酬関係の改正 

特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入対策

普通の役員報酬っていくら? 
赤字対策で役員報酬を減額する場合の留意点 
赤字対策で役員報酬を減額する場合の留意点 その2

 

投稿者 松波 竜太 on 2008年05月04日 23:54

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.maznami.biz/mt-tb.cgi/232

コメントを投稿

【数字にこだわるカテゴリーの関連記事】

平成20年版 税額最小役員報酬
収支分岐点(3)
収支分岐点(2)
経営の偏差値を知る
収支分岐点
平均の使い方を誤っていませんか?
【雑誌連載】 第6回 売上予測シミュレーションと業務適用時の注意点
【雑誌連載】 第5回 季節調整値を求める・異常値を論理的に効率的に見つける
【雑誌連載】 第4回 重回帰分析を使って次の一手を見つける
【雑誌連載】 第3回 標準偏差・相関係数の実務への応用と回帰分析
【雑誌連載】 第2回 これだけは押さえておきたい統計の基礎
【雑誌連載】会計データの分析は『統計解析』の視点から!
中途社員の給与の決め方
広告宣伝や接待の効果を知るには(先行指標を探す)
今後30年以内に震度6以上の揺れをもたらす地震の確率
12ヶ月サイクルの変動と考えてよいか調べる
先月よりも業績は良かったのか ( 季節調整値を求める )
生命保険を利用すべきか再投資すべきか
交通事故の確率
評論家になってはいまいか!
(過去の実績)お客様と一緒に考える
人間社会には物理の法則とは違う部分がある
中小企業のシェア
世帯貯蓄額(家計調査)で気になったこと
手許現金の設定
業績予測をする場合の注意点

サンプル数がいくつあれば正確なデータとなるのか
税務職員1人当たり法人数(東京都)
税務職員1人当たり個人数(埼玉県)
税務職員1人当たり法人数(埼玉県)
パートさんの手取りが逆転するポイント・復活するポイント
首都圏郊外の人口動態予測
重回帰分析がうまくいかない場合
失敗事例
どの得意先に売ったら儲かるのか
売上増加の秘密を探る
計算結果から因果関係を推測する
期待する分析結果が出ない場合もある
エクセルで「売上や販管費」の相関分析をする際の会計ソフトの設定上の注意点
エクセルで「利益⇔売上・販管費」の相関分析をする
エクセル「分析ツール」を準備する
会計ソフトから月次推移データをエクスポートする
データ分析を意識した会計データ入力のコツ
販売ソフトから導入しましょう
会計ソフト初期設定のコツ
月次推移を出力するのに適した会計ソフト
大切なのは仮説を立てて実地検証してみることです
中小企業に役立つ経営分析とは?
財務分析の限界
日別 家計支出 3年平均
<数字にこだわる>カテゴリの説明

« 一つ前のエントリーへ | メイン

このエントリーを友達に紹介する!

友達のメールアドレス:

あなたのメールアドレス:

メッセージ(オプション):