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2008年03月02日

収支分岐点(2)

kishukimatuuntensikinbunri2.gif収支分岐点1式②

zoukauntensikin2.gif …収支分岐点2式②

収支分岐点1式②と収支分岐点2式②の違いは「期首運転資金」が分子にあるか分母にあるかということで、これは回転率(売上債権・買入債務・棚卸)の考え方の違いによるものではないかと思う。と、書きました。

どちらの式も、それなりに説得力があるように思っていましたが、どこに違いがあるのか分からず、ずっとモヤモヤしていたのです。

そこで…

21BGBYD4H9L._AA140_確定申告期間中なのですが、この本を読んでみました。

「「収支分岐点」活用のしかた―資金からみた採算がつかめる」(本間建也、日本実業出版社 (1993/04) )

恐らく、この本を最後に、日本では収支分岐点専門に書かれた本は出版されていないと思います。

しかしこの本さえも、私がいつも買っているネット書店BK1では取扱中止になっていました。

図書館で取り寄せるとものずごく時間がかかるので、諦めかけていたのですが、何とビズソフトの中尾さんが持っているとの情報を下さったので、さっそくお借りして読んでみることにしたのです。

中尾さんさすがです!ありがとうございました。日本初の収支ソフトBIZSOFT経理ナビを作っただけあって、15年前から収支に着目されていたのですね!!

結論から言うと、1式と2式の違いは増加必要運転資金の考え方の違いでした。

 

そもそも、2つの式の根底に方は次の式があります・

資金の増減額=利益+非資金費用-運転資金増減額-借入返済額

これは、キャッシュフロー計算書の間接法におけるフリーキャッシュフロー計算書の考え方とほぼ同じです。

 

この式における「運転資金増減額」の考え方が2つあります。

とはいっても、

運転資金増減額=期末運転資金-期首運転資金

この考え方は、1式も2式も変わりありません。

分かりやすく言うと、

1式は「売上に比例して変わるのは期末運転資金で、期首の運転資金は前期からの繰越額を使うべきである
2式は「売上に比例して運転資金増減額そのものが推移する

という、2つの考え方が、1式・2式を分けているのです。

 

とにかく、問題は損益というフローの概念に売上債権・在庫・買入債務というストックをどうからませるかということなのです。

偶然ですが、「回転率(売上債権・買入債務・棚卸)の考え方の違いによるものではないか」という予想は当たりました。

式自体に着目すると、「期首運転資金を売上高で割るか割らないか」という違いが、期首運転資金を分子に持ってくるか、分母に持ってくるかの違いに影響するということになります。

言い方を変えると、期首運転資金を固定支出扱いするか、変動支出扱いするかの違いです。

 

これはどちらが正しいということでもないように思えます。

期首運転資金は前期からの繰越…つまり前記の売上に比例するもので、当期の売上との関係性を考えるのもおかしい気もしますし、式自体の構成を考えるとフローだけで構成されているものの中に、期首運転資金だけがストック的要素として入り混じるというところに違和感を感じなくもありません。

言い換えると、期首運転資金を固定することにより、当期の運転資金回転期間をもとにして収支分岐点を求めるか、会計期間を2年とって運転資金回転期間を求めるかという違いになります。

結局は、分析者の主観に委ねることにならざるを得ないのだと思います。

収支分岐点分析の本が1993年以来出ていないのは、こんなところに理由があるのではないでしょうか?

会計データが統計的に解析されなかったように、理解できる一部の人達だけの手法になってしまっていたのでしょう。

判断に経験が必要な有効な分析手法は風化していくということなのかもしれません。

改めて、分析手法はそれ自体が答えを出してくれるのではなく、その結果を理解・解釈してどう生かすかという点が重要であるということを認識しました。

 

式の過程をメモしておきます。

資金増減額=利益+非資金費用-借入返済額-運転資金増減額…①

利益=売上×限界利益率-固定費…②

運転資金増減額=期末運転資金-期首運転資金…③
          =売上高×(期末)運転資金回転期間-期首運転資金…③の1
          =売上高×運転資金増減率※…③の2

 ※ 運転資金増減率=(期末運転資金-期首運転資金)÷売上高

この記事から読まれた方は、「運転資金=現金」ではありません。

ここでは 運転資金=売上債権+在庫-買入債務 です。

いわゆる「必要運転資金」のことを言っています。

 

[1式の生成]

①に ②と③の1を代入

資金増減額=売上×限界利益率-固定費+非資金費用-借入金返済額-(売上高×(期末)運転資金回転期間-期首運転資金)
       =売上高×(限界利益率-運転資金回転期間)-固定費+非資金費用-借入返済額+期首運転資金

資金増減額=0とすると

売上高×(限界利益率-運転資金回転期間)=固定費-非資金費用+借入返済額-期首運転資金

1siki_1.gif …式1
         =kishukimatuuntensikinbunri2.gif

[2式の生成]

①に ②と③の2を代入 

資金増減額=売上×限界利益率-固定費+非資金費用-借入金返済額-(売上高×運転資金期末回転期間-売上高×期首運転資金期首回転率)
       =売上高×(限界利益率-期末運転資金回転期間+期首運転資金回転期間)-固定費+非資金費用-借入返済額

資金増減額=0とすると

売上高×(限界利益率-期末運転資金回転期間+期首運転資金回転期間)=固定費-非資金費用+借入返済額

2siki_1.gif…式2
      =
     =zoukauntensikin2.gif

 

※注 「「収支分岐点」活用のしかた―資金からみた採算がつかめる」(本間建也、日本実業出版社 (1993/04) )は実務書で、学術書ではないので、このような難しい内容の本ではありません。

 

[参考]

収支分岐点
収支分岐点(2)
収支分岐点(3)

 

 

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投稿者 松波 竜太 on 2008年03月02日 20:43

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