間違いだらけの会計ソフト選び~知らないではすまされない5つのポイント
いまや自分の会社の経理をパソコンを使って自分で行うのは当たり前になっています。しかし、パソコンショップに行くと、大変多くの会計ソフトが並んでいます。そんな中から自分の力量と自分の会社の規模を考えた場合にどの会計ソフトを選んだらよいのでしょうか。
そこで、市販ソフトの特徴点を5つのポイントに絞って解説してみました。会計ソフトを購入される前にぜひご一読ください。
現在このような状況の中で、従来からあるパッケージソフトはブロードバンド環境の基盤が整ってきたをふまえて、販売購買ソフトや、給与ソフトなどの他ソフトとの連携や、他支店や会計事務所とのつながりといった新たな付加価値をつけて生き残り策を模索しているようです。
以前2003年に、市販ソフトのうち代表的なソフト4つをあげて、その特徴点を以下の観点から簡単にまとめさせていただきましたが、その後各ソフトとも何度かの改訂を経て状況変わってまいりましたので、改めてコメントさせていただきました。
比較対象とする会計ソフト
| パッケージ | ソフト名 | 会社名 | 特徴点 |
![]() | 勘定奉行21 | ㈱オービックビジネスコンサルタント | 販売高No.1 |
![]() | PCA会計7 | ㈱ピーシーエー | |
| 弥生会計05 | 弥生㈱ | 販売本数No.1 | |
![]() | 会計王5 | ソリマチ㈱ |
価格面
メーカーのターゲットとされる客層の違いにより、会計ソフトの価格帯は真っ二つに分かれます。
| 高額 | 勘定奉行 | 15万円~33万円 | 廉価版 4万円 |
| PCA会計 | 15万円~25万円 | 廉価版 3.98万円 | |
| 低額 | 弥生会計 | 4万円~8万円 | |
| 会計王 | 4.5万円~7万円 | ||
高額な勘定奉行・PCA会計は機能制限をつけて廉価版を販売しておりますが、勘定奉行は廉価版の方は、現在ではバージョンアップを見合わせている状況です。反対にPCA会計は廉価版をメインに売っていこうという販売戦略をとっています。
各社とも、年度ごとに会社ファイルを1つ作成して管理する方式をとっていますが、勘定奉行の廉価版では10年分しか管理できなくなっています。(ただし、バックアップを取って保存・復元という処理を行えば永久に使用することは可能です。)他のソフトではPCA会計で99,999社、会計王で1,000社という上限はありますが、いずれも実務上中小企業においては全く問題ないのではないかと思います。
会計ソフトは、いろいろな分析機能などがついたとしても、基本的には会計帳簿つけという従来手作業だった部分をパソコンで行うというものです。したがって、仕訳入力→試算表作成→決算書作成という基本部分はすべてのソフトに付いていますので、価格の高低によってこれらの機能が付いている・いないということはありません。
従来は、価格の高低は処理速度の高低と関係していましたが、現在ではハード・ソフトともに性能が大きく向上していますので、私の感覚では私たち中小企業レベルの日常処理においてはほとんどどのソフトをご使用いただいても問題はないと思います。ただし、会計王についてはソフトの構造上あまり伝票枚数が多いところについてはお勧めできません。
操作性
2003年版からの変更点
・簿記の知識がほとんどない方へのお勧めNo.1を弥生会計に変更しました。
・会計王の各帳票のテキストデータ変換時に生じた位置ずれが改正で解決されました。
特に同じ伝票を同じ人間を使って比較したわけではありませんので、ここは主観的な操作性の比較になってしまいます。
まず、一般的に簿記をよく知っている方が使用するか、そうでないか、使う方の慣れによって操作性の感じ方も違うと思います。簿記をよく知っている方が使う場合には、いかに速く入力できるかが問題になります。反対に簿記に余りなれていない方にとっては、以下に簿記の知識がなくても帳簿がつけられるかということがポイントになります。ここでは、簿記の知識がない→簿記をよく知っている、という順にソフトを説明していきます。
まず、簿記の知識がほとんどない方にお勧めできるのは「弥生会計」です。弥生会計には「切手の購入」ですとか、「税金の支払い」などの摘要を選ぶと自動的に仕訳をきってくれる機能(仕訳辞書登録)があります。これが、仕訳入力時を入力しながら、または、登録後に確認しながら入力した仕訳にサーチキーを設定して登録することができますので、次回から同じ仕訳が必要なときにサーチキーだけ入力すると勘定科目を登録したとおりに作成をしてくれます。
当事務所の例をしめしますと、お客様の入力の元となる資料を1~3ヶ月程度お預かりして、仕訳処理をするとともに仕訳辞書登録をしてしまい、お客様には、弥生会計の使い方の概要をざっと説明して、あとはサーチキーを便りに入力する方法を説明させて頂きます。このような方法で、ほとんどのお客様が日常処理の80%程度の処理をこなせてしまっているのではないかなというのが実感です。
サーチキーの使い方としては、取引先をサーチキーとして登録して、伝票入力時には[日付⇒サーチキー⇒金額]と入力する方法が一般的かと思います。具体的には「松波会計事務所に3/12日、顧問料を普通預金から31,500円支払った」という取引があった場合には、預金出納帳より[0312⇒matsunami(サーチキー)⇒31500]と入力すると、「3/12 (借方)支払報酬 31,500 (貸方)普通預金 31,500 (摘要)松波会計事務所へ顧問料支払」という仕訳が作成されるというような具合です。
しかし、弥生会計には大きな問題点があります。勘定科目に科目コード(他の会計ソフトでは勘定科目には3~4桁の勘定科目コードが設定してあり、たとえば現金は100とか売上は500というふうに勘定科目コードを使用して仕訳を入力していきます。)が基本的に無いのです。ですから、現金はgenkin、売上はuriageなどの様にローマ字などで入力していくのです。(サーチキーという設定もあり、ここに数字を入れれば他のソフトと同様に入力することができます。)したがって、ソフトに慣れるまではローマ字で打つ分、科目コードを覚えなくてよいので楽なのですが、幾分慣れてきた場合にはgenkinと6字打つのと、100と3文字しかもテンキーを使って打つのでは大幅に入力速度に影響が出ますので、注意が必要です。さらに、「支払手形、支払手数料・支払利息」のように「shiharai」という頭の部分が一致してしまう科目については、入力しても判別してくれません。05からはソフトに学習機能がつき頻度順に並ぶようになったようですが、根本的な問題なので、この点については仕方のないことかもしれません。
また、仕訳データをテキストデータにエクスポートしてエクセルなどで使用する際にも、「現金」や「売上」という風に日本語で処理されているので、昇順・降順の並べ替えが汚くなってしまう(試算表と同じ順番にはならない)ので、こちらについても科目名の頭に数字をつけるなど工夫することが必要となってしまいます。
次にお勧めなのが、「会計王」です。会計王にも自動的に仕訳をきってくれる機能(取引摘要辞書登録)はあります。さらに、会計王にはお決まり仕訳という機能もあって、毎月必ず登録する必要がある仕訳・・・たとえば「10日に電話代の支払い」や、月末に「給料」や「減価償却費」など考えられるものを登録しておけば、必要に応じて取り込める機能などがあります。
ただし、価格面でも述べたようにスピードに問題がありますので、あまり処理量が多いようですと、親切設計な分処理能力に問題があります。
最後に、一番玄人好みなのが「勘定奉行」と「PCA会計」です。両者とも基本的には簿記の知識があることを前提に作られている分、会計事務所での使用にも耐えるほど、高速の入力が可能になっています。勘定奉行にも前述の2ソフトのように自動で仕訳をきってくれる機能として「自動仕訳」という機能があるのですが、この登録と管理は結構大変です。ただし、入力が終わった後のテキストデータへの変換などの自由度や完成度は最も高く、経営分析などを主眼において会計ソフトを選ばれるのでしたら、このどちらかになると思います。私個人的には、windowsへの取り組みが早かった分安定している「勘定奉行」をお勧めしています。
ネットワーク(LAN)対応
2003年版からの変更点
・弥生会計がネットワーク対応になりました
ここではネットワーク対応というのはネットワークを使って1つの会社データに複数のパソコンで同時に入力できる機能をいいます。ただし、クライアント数をどこまで増やせるかという点において各社で違いがあります。また、金額面においても各社のターゲットから大きく違っています。
| 3クライアント版での価格の比較 | ||
高額 ↓ 低額 | 勘定奉行(typeA) | 98.7万円 |
| PCA会計 | 75.6万円 | |
| 弥生会計 | 50.4万円 | |
| 会計王 | 16.8万円 | |
ただし、会計王は3クライアント以上は増やせません。勘定奉行・PCA会計はサーバーの処理能力によりますが、理論的には100以上のクライアントを設定することも可能です。
このようなことから、勘定奉行がもっとも大規模ユーザーをターゲットとしており、PCA会計→弥生会計→会計王という順にターゲットユーザーの規模を小さく捕らえているようです。
私個人としては、支店は無いが処理伝票数が多いため何台かのパソコンで入力しないと間に合わない。という会社にはまずは会計王で十分ではないかと考えています。
他ソフトとの連携
すべてのソフト会社で販売・購買・給与ソフトを発売しており、それぞれが会計ソフトを中心に連携しています。つまり、販売・購買・給与処理をそのまま財務会計のデータとして使用することができます。
もっとも完成度が高いのが、PCAから発売されているDREAM21シリーズです。DREAM21を除いては、一度テキストデータに変換したものを読み込む方式をとっています。一度テキストデータに変換したものを読み込む方式の最大の問題点は、元のデータに何らかの変更があった場合です。この点、DREAM21は一つのデータに付加価値をたくさんつけて管理する、いわゆるERPなので、伝票への変更がリニアに結果に反映します。
他のソフトは、仕訳データ作成やデータ読込機能を使って、テキストデータのやり取りをします。この場合には、この作業を行うまで、結果が反映しないという欠点があります。更に、最大の問題点は元データに変更があったときに、全てのソフトの伝票をいちいちチェックしながら変更点を手で修正してあげなくてはなりません。したがって、例えば、請求管理ソフトで売上の単価変更などが請求後に発生した場合に大変な思いをすることになります。これを回避するには、「元データの修正をしてはいけない」といった人的ルールによる以外に方法がありません。(伝票修正をユーザーの権限設定により限定することは可能です。)
なお、勘定奉行については伝票に「他ソフト作成」というマークがつくので、期間を指定して、該当伝伝票を一括削除した後、再度、元ソフトから伝票を生成しなおすということが可能です。また、ボタン一つで「元ソフトでの伝票作成→受入先ソフトでの受入」が可能なので、ある程度人的ルールーが確立されていれば、ERPのような感覚で操作できるようです。
カスタマイズの可能性
会計ソフトでは、あまりソフトのカスタマイズは問題になりません。しかし、あえてカスタマイズが必要となった場合はどうでしょう。カスタマイズできるかできないかは下の表のようになっています。
| できる | 勘定奉行(新ERPシリーズ) |
| PCA会計(DREM21シリーズ) | |
| できない | 弥生会計 |
| 会計王 |
ただし、PCA会計はネットワーク(LAN)対応製品のみがカスタマイズ可能のとなっています。
現在、最もカスタマイズに力を入れているのが、最も早くカスタマイズに本格的に取り組みだした勘定奉行シリーズです。ただし、価格はカスタマイズ前で58万円ですので、カスタマイズ後は100万円を越えてしまう可能性は高いでしょう。現在は安定性やユーザー数の多さなどの面から勘定奉行の方がお勧めです。
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