特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入シミュレーション その3
※ごらん頂いている内容は平成19年度税制改正により形骸化しております。ご注意ください(詳しくは下記[関連記事]を参照)。
予定外に「一人会社の報酬制限シミュレーション」が連載になってしまいました。結果を確認してから発表すれば良かったと思います(反省)。・・・ブログですから、皆様には申し訳ありませんが、読者の皆様と過程を共有できるというのも利点の一つと考え直すことにいたしましょう。
さて、「エクセルのゴールシーク機能やソルバー機能で税額最小値を見つけられない」問題に終止符を打ちたいと思います。
結論から先に申しますと、やはり、エクセルのゴールシーク機能やソルバー機能では税額最小値を見つけられません。ガクッ。しかし、「税額最小値がある」ということを帰納法的に確認いたしました。これに関しては、笹川先生がすでにhttp://ken-s.tea-nifty.com/hal/2006/05/post_840d.htmlで問題を提起されて、確認を済まされています。
今回は、税額最小値の一例を示し、なぜエクセルの計算機能で解が見つけられなかったのかを考察してみたいと思います。
まずは、基本的なことの確認。ご存知の通り、法人には法人税が、個人には所得税が掛かります。役員報酬は給与となり、所得税の対象です。たとえば、会社で稼いで1,000万円利益が出る場合、
①法人の利益1,000万円として「法人税」を払い、役員報酬は0円なので「所得税」は0円
②役員報酬を1,000万円支払い「所得税」を支払い、法人の利益を0円として「法人税」を0円とする
を両極端として、法人利益100万円-役員報酬900万円(100万円分の法人税・900万円分の所得税を負担)、や法人利益500万円-役員報酬500万円(500万円分づつの法人税と所得税を負担)といった形で処理を行うことになります。
では、会社の利益と役員報酬のバランスがどういう状態の時に、「法人税+所得税」がもっとも小さくなるのでしょうか?
今回、「一人会社の報酬制限シミュレーション」を考えるにあたって、これが非常に重要なファクターであると気づいたのです。というより、もっと早く気づくべきでした。正直言って、給与所得があるので、「所得税率が法人税率を上回らない範囲で役員報酬を支払うのが税額最小になるだろう」と、思い込んでいたのです(非常に恥ずかしい・・・)。
しかし、事実は違いました・・・
結論は下の表のようになるのです。
税額最小値一覧表(平成18年3月31日以前)
| 可処分利益 | 役員報酬月額 | 会社利益 | 会社税金① | 個人税等② | 税総額①+② |
| 1,000,000 | 100,000 | -200,000 | 0 | 295,892 | 295,892 |
| 5,000,000 | 100,000 | 3,800,000 | 1,180,100 | 295,892 | 1,475,992 |
| 10,000,000 | 300,000 | 6,400,000 | 2,045,400 | 1,077,674 | 3,123,074 |
| 15,000,000 | 500,000 | 9,000,000 | 3,033,700 | 1,946,140 | 4,979,840 |
| 20,000,000 | 1,000,000 | 8,000,000 | 2,581,000 | 4,115,270 | 6,696,270 |
| 25,000,000 | 1,400,000 | 8,200,000 | 2,671,500 | 6,007,970 | 8,679,470 |
| 30,000,000 | 1,800,000 | 8,400,000 | 2,762,100 | 7,968,770 | 10,730,870 |
| 35,000,000 | 1,900,000 | 12,200,000 | 4,482,300 | 8,499,500 | 12,981,800 |
| 40,000,000 | 1,900,000 | 17,200,000 | 6,745,800 | 8,499,500 | 15,245,300 |
| 45,000,000 | 1,900,000 | 22,200,000 | 9,009,300 | 8,499,500 | 17,508,800 |
| 50,000,000 | 1,900,000 | 27,200,000 | 11,272,800 | 8,499,500 | 19,772,300 |
| 55,000,000 | 2,100,000 | 29,800,000 | 12,449,900 | 9,639,500 | 22,089,400 |
| 60,000,000 | 2,500,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 11,919,500 | 24,459,900 |
| 65,000,000 | 2,900,000 | 30,200,000 | 12,635,300 | 14,199,500 | 26,834,800 |
| 70,000,000 | 3,300,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 16,479,500 | 29,220,200 |
| 75,000,000 | 3,800,000 | 29,400,000 | 12,268,800 | 19,329,500 | 31,598,300 |
| 80,000,000 | 4,200,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 21,609,500 | 33,968,800 |
| 85,000,000 | 4,600,000 | 29,800,000 | 12,449,900 | 23,889,500 | 36,339,400 |
| 90,000,000 | 5,000,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 26,169,500 | 38,709,900 |
| 95,000,000 | 5,400,000 | 30,200,000 | 12,635,300 | 28,449,500 | 41,084,800 |
| 100,000,000 | 5,800,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 30,729,500 | 43,470,200 |
| 110,000,000 | 6,700,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 35,859,500 | 48,218,800 |
| 120,000,000 | 7,500,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 40,419,500 | 52,959,900 |
| 130,000,000 | 8,300,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 44,979,500 | 57,720,200 |
| 140,000,000 | 9,200,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 50,109,500 | 62,468,800 |
| 150,000,000 | 10,000,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 54,669,500 | 67,209,900 |
| 160,000,000 | 10,800,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 59,229,500 | 71,970,200 |
| 170,000,000 | 11,700,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 64,359,500 | 76,718,800 |
| 180,000,000 | 12,500,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 68,919,500 | 81,459,900 |
| 190,000,000 | 13,300,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 73,479,500 | 86,220,200 |
| 200,000,000 | 14,200,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 78,609,500 | 90,968,800 |
| 210,000,000 | 15,000,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 83,169,500 | 95,709,900 |
| 220,000,000 | 15,800,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 87,729,500 | 100,470,200 |
| 230,000,000 | 16,700,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 92,859,500 | 105,218,800 |
| 240,000,000 | 17,500,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 97,419,500 | 109,959,900 |
| 250,000,000 | 18,300,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 101,979,500 | 114,720,200 |
| 260,000,000 | 19,200,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 107,109,500 | 119,468,800 |
| 270,000,000 | 20,000,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 111,669,500 | 124,209,900 |
| 280,000,000 | 20,800,000 | 30,400,000 | 12,740,700 | 116,229,500 | 128,970,200 |
| 290,000,000 | 21,700,000 | 29,600,000 | 12,359,300 | 121,359,500 | 133,718,800 |
| 300,000,000 | 22,500,000 | 30,000,000 | 12,540,400 | 125,919,500 | 138,459,900 |
意外と役員報酬が低いので驚きます。この役員報酬で、「実際に生活ができるか」とか「モチベーションは・・・」という問題はあります。しかし、実際にこれが税額最小なのです。
「あなたは税金を払いすぎていませんか?」
なんて、どこかの宣伝文句にありそうですが、ご覧頂いていかがでしょうか?
たとえば、先ほどの例の1,000万円の利益の場合で、
①会社利益1,000万円・役員報酬0円
②会社利益0円・役員報酬1,000万円
③会社利益100万円・役員報酬900万円
④会社利益500万円・役員報酬500万円
の場合の税額はそれぞれ、いくらになるでしょうか?
税額最小となるのは、表から役員報酬を30万円とした場合で312万3,074円です。
①377万3,392円(+65万329円)
②348万7,880円(+36万4,817円)
③344万7,980円(+32万4,917円)
④315万2,600円(+2万9,537円)
と、なります。③のパターンなどは割とオーソドックスな例だと思うのですがいかがでしょうか?
私利私欲を捨てられる社長さん!すぐに役員報酬を見直しましましょう!!(実際問題1,000万円も稼いで役員報酬30万円では、私もちょっと考えてしまいますが・・・(笑))
さて、上記①から④のように、会社利益と役員報酬のバランスにより、「法人税+個人税」は様々な値をとります。実はこれが、「エクセルのゴールシーク機能やソルバー機能で税額最小値を見つけられない」だと考えております。
「会社利益+役員報酬」が1,000万円のときの「役員報酬(月額)」と「法人税+個人税」の関係をグラフに示すと、以下のようになります。
同じ「会社利益+役員報酬」が1,000万円でも、役員報酬の取り方によってこんなにも税額に差が出てしまうのです。
グラフの特徴点として、完全な下に凸にならないのがお分かりいただけるかと思います。(計算ロジックが分からないので、おそらくですが)これがエクセルのゴールシーク機能やソルバー機能では税額最小値を見つけられない理由です。
山登りをした際に途中の尾根で、「ここが頂上か!」と思うと、実は頂上はもっと先の方、というのに似ていて、エクセルのゴールシーク機能やソルバー機能が総当りで計算結果を検索する際に、適当な頂点を見つけて勘違いをしてしまうのです。
さて、計算についてはスッキリしました(私の中で(笑))。
次回は、「一人会社の報酬制限シミュレーション」の集大成として、法人税法35条適用後の税額とその対応について考えてみたいと思います。
前提条件
・法人税計算上の課税所得は計算を簡略化しています
・留保金課税の留保所得額及び留保控除額は計算をもっともシンプルな形に簡略化しています
・事業税は軽減税率適用法人を前提としています
・住民税率は標準税率を適用しています
・住民税均等割は計算の考慮に入れていません
・個人税の中には「社会保険料」が入っています
・事業税の外形標準課税適用法人を対象としていません
・社会保険加入法人を対象としています
・所得税の計算においては、給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除以外の控除は考慮しません
・社会保険料は介護保険ありとしています
・各計算の簡略化のため、端数処理が実際の計算とはことがあります
・事業税の増加分は法人税の計算上考慮していません
・所得税の税率はH18.1.1現在のものを使用しています
・定率減税は計算の対象外としています
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