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2008年07月21日

卵が先かニワトリが先か ( 因果関係をみつけるのは難しい )

なぜビジネス書は間違うのか

私が会計事務所に勤め始めて3年目の秋(平成9年)だっと思うのですが、一冊の本をTKCの研修で紹介されました。

ビジョナリーカンパニー」(ジェームス・C・コリンズ、日経BP出版センター) 

という本です。

書かれている内容をひとことで説明すると、「永続発展している企業にはビジョン(理念・目標)を掲げて、それを共有しているといった共通点がある」 ということです。

本を開くと、まず、膨大な企業データ、経営者へのインタビュー、雑誌の記事等を客観的に分析し、いかにこの本が正しいかということを、読者に突きつけます。

そして、絶妙なベンチマーク企業との比較論の展開…

それから、7年間ほどは、この本に書いてあることが、私にとっての真実でした。

 

しかし、時が流れるにつれ、「ビジョナリーカンパニー」が敗退していく現実を見ることとなり、本に書かれていた内容とのギャップから、疑念が生じ、今では逆に「机上の空論」であったという結論に疑念をはさむ余地がなくなりました。

 

では、「ビジョナリーカンパニー」のどこが間違っていたのでしょうか?

私にとっては、時間が理論の間違いを証明していたので、原因の追究などはどうでも良いことでした。

しかし、「なぜビジネス書は間違うのか」(フィル・ローゼンワイグ、日経BP社)が、その答えを明らかにしてくれました。

 

間違いの原因は2点、「事象の解釈」と「結論の導き方」です。

 

「事象の解釈」の誤りとは、一つの事象には、表裏一体の解釈(二面性)があり、それをを無視していたという点です。

例えば、本業一本に徹していた企業が失敗すると、「時代の変化についていけなかった」、逆に 、多角化企業が失敗すると、「本業以外にウツツを抜かした」と責められるます。

このような、一事象の二面性を無視して、(その当時は)永続発展している企業の行動については良い解釈を適用し、そうでない会社には悪い解釈を適用してたというのが、「事象の解釈」の誤りです。この本では、「ハロー効果」という表現を使っています。

 

もう一つが、「結果の導き方」の誤りです。

「ビジョナリーカンパニー」では、永続発展している企業はビジョンを持っていて、そうでない企業にはビジョンがなかったということが繰り返しかかれています。

しかし、ここには落とし穴がありました。

「ビジョンを持っているのに、永続発展しなかった会社はどうであるのか」

確かに、永続発展している企業にはビジョンを掲げて、それを共有しているといった共通点を持った企業群もあったのだろうと思います。しかし、ビジョンを掲げて共有してたにも拘らず敗退していった企業や、ビジョンの共有などなしに永続発展している企業はどうでしょうか?

「数学においては、一般的には正しいかどうかがわかっていない命題に対しては、ひとつの例外をあげることができれば、その命題は正しくないと判断する。その場合は例外とは言わず、反例という。しかしながら、その数があまりにも少なく、またそれを取り除いた範囲でのその命題の正しさが証明できるのであれば、その命題は認められる。この場合、むしろなぜそのような例外が存在するかを問う場合もあるであろう。(例外:ウィキペディア    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%8B%E5%A4%96)」

私の周りには反例が散見されますし、ビジョナリーカンパニーに書かれている永続発展企業が、永続発展しえなくなった時点で、論理は成立しえなくなります。

下の図における、白(永続発展企業ではない企業)と黄色(ビジョンの共有に成功)の重なった部分、また青のみの部分についても検討する必要があったのだろうと思います。

vision.jpg

少なくとも、「ビジョンを掲げて全社で共有」は、企業永続発展の原因にも前提条件にもなりえないということは論理的に明らかです。

(社会科学では、反証があっても、解釈の違いということで、自説の正当性を曲げないことが多い) 

 

また、

「会社が利益を出してうまくいっているときは、『全社員が一丸となって、ビジョンを共有し、成果を発揮している』と感じるが、利益を出せずにあえいでいる時は、『社員が一体となっておらず、意思疎通もうまくいかない』と感じることが多い」

ともあります。 

ここから、ビジョンの共有があったから業績が良くなったのか、業績が良くなったからビジョンの共有を評価するようになったのかは、どちらが先か分からないということが言えます。

つまり、「卵が先かニワトリが先か分からない」 ということです。

 

では、どうすれば、企業は永続発展することができるのでしょうか?

 

結論を言ってしまえば、答えなどある分けないのです。

ある瞬間に対しては、特定の答えがあるかもしれません。

しかし、社会は絶えず変化していくの、「相対的な正解はあっても、絶対的な正解は無い」 、これが真実なのではないでしょうか?

 

だからこそ、経営を科学的に行う必要があり、常にPDCAサイクルに基づいて、トライ&エラーを繰り返しながら、相対的な正解に近づいていくしか無いのだと私は思うのです。

 

 

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投稿者 松波 竜太 on 2008年07月21日 10:10

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