理にかなった生命保険とは(個人編)
生命保険(死亡保険)の役割は大きく2つ
(1) 自分の死亡後の遺族の生活の保障
(2) 自分が高度障害(寝たきり等)となった場合の生活の保障
です。
(1)が目的というのは当たり前といえば当たり前です。(2)は生命保険協会の年次統計(平成17年度)によると、支払実績で死亡保険金361,122件に対して、高度障害保険金28,203件あり、件数的には(1)の付属的な位置づけですが、絶対に忘れてはならない要素です。
どちらの理由にしても、80歳までに男性の場合47.5%の人が、女性の場合25.5%の人がなくなります。
ここに、生命保険加入の意義があります。
さて、そこで問題となるのが、いくらの保険に入ればよいのかです。
いくらの保険金が必要か=高度障害となった場合の自分がその後いくら必要か or 死亡後の遺族がいくら必要か
と、考えるのが一番シンプルです。
冒頭のグラフは、その今何かあったらその後いくら必要かを表しています。
資料は家計調査の勤労世帯の消費支出(平成17年)を元にしています。
調査結果によると、
| 年齢(歳) | 月額消費支出(円) |
| 25~29 | 192,454 |
| 30~39 | 265,179 |
| 40~49 | 332,877 |
| 50~59 | 335,495 |
| 60~69 | 301,967 |
| 70~79 | 35,455 |
ここで70歳~79歳が金額が小さいのは年金をもらえるため、自分で貯めておく必要が無いからです。
例えば、25歳で保険事故が発生した場合には、上の表の各数値にそれぞれ年数をかけて合計すればよいので、161,754,552円が必要だということがわかります。
ここで大切なポイントが2つあります。
1つは、意外と大きな保障額が必要だということ。
もう1つは、必要保障額は年々減少するということ。
1年生きれば、来年からの保障額はその1年分少なくなるわけです。
これを25歳から80歳まで表にすると、
| 年齢(歳) | 必要保障額(万円) |
25 | 16,175 |
26 | 15,945 |
27 | 15,714 |
28 | 15,483 |
29 | 15,252 |
30 | 14,933 |
31 | 14,615 |
32 | 14,297 |
33 | 13,979 |
34 | 13,661 |
35 | 13,342 |
36 | 13,024 |
37 | 12,706 |
38 | 12,388 |
39 | 12,070 |
40 | 11,670 |
41 | 11,271 |
42 | 10,871 |
43 | 10,472 |
44 | 10,072 |
45 | 9,673 |
46 | 9,273 |
47 | 8,874 |
48 | 8,474 |
49 | 8,075 |
50 | 7,672 |
51 | 7,270 |
52 | 6,867 |
53 | 6,465 |
54 | 6,062 |
55 | 5,659 |
56 | 5,257 |
57 | 4,854 |
58 | 4,452 |
59 | 4,049 |
60 | 3,687 |
61 | 3,324 |
62 | 2,962 |
63 | 2,600 |
64 | 2,237 |
65 | 1,875 |
66 | 1,513 |
67 | 1,150 |
68 | 788 |
69 | 425 |
70 | 383 |
71 | 340 |
72 | 298 |
73 | 255 |
74 | 213 |
75 | 170 |
76 | 128 |
77 | 85 |
78 | 43 |
79 | 0 |
と、なります。
社会保険に入っている場合には、遺族年金が入ってきますので、必要保障額はこれよりも小さくなります。また、社会保険に入っていない場合でも持ち家であれば、やはり上記の金額よりも必要保障額は小さくなります。
週間東洋経済2006/4/22号P.33に目安の金額が出ていたので参考にあげておきます。
| 死亡時の夫の仕事 | 妻の年齢 | 妻の仕事 | 住宅 | 子供 | 必要保障額+貯蓄(円) |
| サラリーマン | 30歳代 | 正社員 | 持ち家 | 有 | 300-500万 |
| サラリーマン | 30歳代 | 正社員 | 持ち家 | 無 | 1,000-1,500万 |
| サラリーマン | 30歳代 | 正社員 | 賃貸 | 有 | 4,000-5,000万 |
| サラリーマン | 30歳代 | 正社員 | 賃貸 | 無 | 4,000-5,000万 |
| サラリーマン | 30歳代 | パート | 持ち家 | 有 | 3,000-4,000万 |
| サラリーマン | 30歳代 | パート | 持ち家 | 無 | 3,000-4,000万 |
| サラリーマン | 30歳代 | パート | 賃貸 | 有 | 8,000-9,000万 |
| サラリーマン | 30歳代 | パート | 賃貸 | 無 | 8,000-9,000万 |
| サラリーマン | 40歳代 | 正社員 | 持ち家 | 有 | 300-500万 |
| サラリーマン | 40歳代 | 正社員 | 持ち家 | 無 | 300-500万 |
| サラリーマン | 40歳代 | 正社員 | 賃貸 | 有 | 4,000-5,000万 |
| サラリーマン | 40歳代 | 正社員 | 賃貸 | 無 | 2,500-3,500万 |
| サラリーマン | 40歳代 | パート | 持ち家 | 有 | 2,000-3,000万 |
| サラリーマン | 40歳代 | パート | 持ち家 | 無 | 500-1,000万 |
| サラリーマン | 40歳代 | パート | 賃貸 | 有 | 6,500-7,500万 |
| サラリーマン | 40歳代 | パート | 賃貸 | 無 | 5,000-6,000万 |
| サラリーマン | 50歳代 | 正社員 | 持ち家 | 有 | 300-500万 |
| サラリーマン | 50歳代 | 正社員 | 持ち家 | 無 | 300-500万 |
| サラリーマン | 50歳代 | 正社員 | 賃貸 | 有 | 3,500-4,500万 |
| サラリーマン | 50歳代 | 正社員 | 賃貸 | 無 | 3,000-4,000万 |
| サラリーマン | 50歳代 | パート | 持ち家 | 有 | 1,000-1,500万 |
| サラリーマン | 50歳代 | パート | 持ち家 | 無 | 1,000-1,500万 |
| サラリーマン | 50歳代 | パート | 賃貸 | 有 | 4,500-5,500万 |
| サラリーマン | 50歳代 | パート | 賃貸 | 無 | 4,500-5,500万 |
| 自営業 | 30歳代 | 正社員 | 持ち家 | 有 | 2,500-3,500万 |
| 自営業 | 30歳代 | 正社員 | 持ち家 | 無 | 2,000-3,000万 |
| 自営業 | 30歳代 | 正社員 | 賃貸 | 有 | 8,000-9,000万 |
| 自営業 | 30歳代 | 正社員 | 賃貸 | 無 | 8,000-9,000万 |
| 自営業 | 30歳代 | パート | 持ち家 | 有 | 7,000-8,000万 |
| 自営業 | 30歳代 | パート | 持ち家 | 無 | 6,500-7,500万 |
| 自営業 | 30歳代 | パート | 賃貸 | 有 | 1億2,000万-1億3,000万 |
| 自営業 | 30歳代 | パート | 賃貸 | 無 | 1億1,500万-1億2,500万 |
| 自営業 | 40歳代 | 正社員 | 持ち家 | 有 | 2,500-3,500万 |
| 自営業 | 40歳代 | 正社員 | 持ち家 | 無 | 2,000-3,000万 |
| 自営業 | 40歳代 | 正社員 | 賃貸 | 有 | 7,000-8,000万 |
| 自営業 | 40歳代 | 正社員 | 賃貸 | 無 | 6,500-7,500万 |
| 自営業 | 40歳代 | パート | 持ち家 | 有 | 5,500-6,500万 |
| 自営業 | 40歳代 | パート | 持ち家 | 無 | 4,500-5,500万 |
| 自営業 | 40歳代 | パート | 賃貸 | 有 | 1億-1億1,000万 |
| 自営業 | 40歳代 | パート | 賃貸 | 無 | 9,000万-1億 |
| 自営業 | 50歳代 | 正社員 | 持ち家 | 有 | 2,500-3,500万 |
| 自営業 | 50歳代 | 正社員 | 持ち家 | 無 | 2,500-3,500万 |
| 自営業 | 50歳代 | 正社員 | 賃貸 | 有 | 6,000-7,000万 |
| 自営業 | 50歳代 | 正社員 | 賃貸 | 無 | 5,500-6,500万 |
| 自営業 | 50歳代 | パート | 持ち家 | 有 | 4,000-5,000万 |
| 自営業 | 50歳代 | パート | 持ち家 | 無 | 3,500-4,500万 |
| 自営業 | 50歳代 | パート | 賃貸 | 有 | 7,500-8,500万 |
| 自営業 | 50歳代 | パート | 賃貸 | 無 | 7,500-8,500万 |
しかし、現実的には生命保険金が一定のタイプの保険に入っている方がほとんどなのではないでしょうか?例えば8,000万円の保険に入っているという場合には、いつ何があっても8,000万円入ってくるという訳です。(こういうタイプの保険を箱型定期保険といいます。下の図のように保険金が箱型に見えるからです)
ところが、こういうタイプの保険の場合、下の図のようにある一定年齢までは保障額が不足して、ある一定年齢以降保険金が余ってしまうのです。
例えば、8,000万円えんの箱型定期保険に入っている場合、49歳までは保険金が不足し、50歳以上では保険金があまります。
しかし、実際には生活保障額は足りなくても余っても困るのです。
余る分には困らないのでは?と、考えるかもしれませんが、
「あの人はご主人が亡くなって羽振りが良くなったね~」と噂されることが怖いですし、ご主人が亡くなった後、多額の生命保険を受け取ったために、生活が変わってしまい、却って生活のペースが乱れて乱して破綻に追い込まれるケースもあります。
こういう問題を上手くカバーしてくれる保険があります。
一般的には「収入保障保険」といわれるタイプの保険です。分かりやすくいうと、「遺族年金で受け取る年齢に制限のあるもの」と考えていただければと思います。「逓減定期保険」も同じものです。
年金のように受取れるので、遺族の生活保障としての受取り方としては最適です。
先術の週間東洋経済2006/4/22号P.52に収入保障保険のランキングが掲載されていたので記載しておきます。
| 順位 | 保険会社 | 得点 |
| 1 | 東京海上日動あんしん | 3.98 |
| 2 | 損保ジャパンひまわり | 3.95 |
| 3 | AIGエジソン | 3.93 |
| 4 | 第一生命 | 3.90 |
| 5 | 富士生命 | 3.87 |
| 6 | アイエヌジー | 3.82 |
| 7 | オリックス生命 | 3.76 |
| 8 | アリコジャパン | 3.74 |
| 9 | ソニー生命 | 3.68 |
| 10 | 日本興亜生命 | 3.65 |
気になる保険料は1位の東京海上日動あんしんの場合60歳まで月あたり20万円受け取れるタイプで下の表の通り(前述の週間東洋経済より)です。
| 30歳 | 40歳 | 50歳 | |
| 男性 | 7,420円 | 8,800円 | 9,820円 |
| 女性 | 4,860円 | 5,880円 | 6,340円 |
| 加入後すぐになくなった場合の総受取額 | 7,200万円 | 4,800万円 | 2,400万円 |
受取れる保険金に対して、それ程高い金額ではありませんよね?
ちなみに私はお付き合いで、「三井住友海上きらめき」と「プルデンシャル」の2社の収入保障保険に入っています。
お付き合いで2社になりましたが、「保険会社を分けて加入する」というのもリスク分散には効果があると思います。
最後にこの保険金の受取時の税の関係です。
まず、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。この場合、「定期金に関する権利」として評価され、法定相続人×500万円が非課税となります。
定期金に関する権利は、その残存期間に応じて、その期間に受けるべき給付金の総額に次の割合を乗じて算出した金額によって評価します。
| 残存期間 | |
| 5年以下 | 70% |
| 5年超10年以下 | 60% |
| 10年超15年以下 | 50% |
| 15年超25年以下 | 40% |
| 25年超35年以下 | 30% |
| 35年超 | 20% |
ただし、その価額が1年間に受けるべき金額の15倍を超えるときは、その15倍の金額とされます。
したがって、上記の保険金を受取った場合には、
| 30歳 | 40歳 | 50歳 | |
| 加入後すぐになくなった場合の総受取額 | 7,200万円 | 4,800万円 | 2,400万円 |
| 評価額 | 2,160万円 | 1,920万円 | 1,440万円 |
という評価額に対して、相続税が課されることとなります。
ただし、資産家の方は別として、相続税の基礎控除が「5,000万円+法定相続人の数」ありますから、一般のサラリーマンの場合には、上記保険金を受取ることとなった場合でも、それ程相続税の心配をする必要はありません(個別の問題は税理士にご確認下さい)。
そして、遺族の受取時に「雑所得」として所得税が課税されます。
二重課税のようで釈然としませんが、これは民間保険会社で「個人年金」をかけていた場合も同様ですので仕方がありません。保険金の受取り方を一時にするか、年金にするかで課税関係が変わるということです。
最後に大切なことですが、「生活保障」という観点からすれば、「相当額が貯蓄としてたまった場合」にはこの保険は解約してしまうことをお薦めします。余計な保険料の支払いも保険金の受け取りも必要ありませんからね。
これから生命保険に加入しようと思っている方は、よくご検討いただければと思います。
[関連記事]
理にかなった生命保険(法人編1・借入金返済編)
理にかなった生命保険(法人編2・仕入債務編)
退職金の準備
生命保険を利用べきか再投資すべきか
理にかなった生命保険とは(個人編)
