金融機関/税務署から決算書の評価を上げるポイント25 その4
[「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリスト]
文字通り、「中小企業の会計に関する指針」を適用しているかどうかのチェックリストです。前述の「注記表」の補足資料でもあります。
通常はこのチェックリストが決算書に添付されていることはありません。
最近は、保証協会の保証料の減免を受けられることから、金融機関からの提出を求められることが多くなってきました。
チェック項目⑪ 「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリストは添付されていますか
チェック項目⑫ 「NO」になっている項目が多くありませんか
先述の通り、「中小企業の会計に関する指針」を適用しているかどうかは、マナーに則っているかどうかと同じことです。
弊社では、全てのお客様に「中小企業の会計に関する指針」の適用し、このチェックリストを添付しています。⇒こちらをご参照下さい
最近、「先生の決算書はこれが付いているので金融機関からの信頼が厚く、評価されているようです」という言葉を、お客様からよく伺います。
ただ、正直申しまして、金融機関の全ての方が、この「中小企業の会計に関する指針」を理解しているとは思えません。
事実、的外れな質問を頂くことも多少あります。
しかし、融資の審査と決済は、ほとんどの金融機関が、「本部」に委ねられています。
本部の方は、膨大な量の決算書に目を通し、融資を検討していますので、決算の内容がどうか、決算書の信憑性はどうか、判断するに十分な経験と知識をもっているので、いわゆる「分かる人には分かる」決算書を作成することには大きな意味があります。
ただし、このチェックリストが添付されていたとしても、「NO」となっている項目、つまり、会計指針に従っていない項目が余り多いようだと、問題があると思われ、逆効果になります。
「NO」となっている項目がある場合には、なぜ、NOになったのか、また、どうすれば改善されるのかを会計事務所とよく話し合っていただき、全ての項目が、「YES」になるように努力することが大切です。
また、チェックリストには、税理士名の記載と押印が求められます。
これにより、金融機関の審査担当者の負担が、一定程度軽減するという効果があるようです。
さらに、多少会計の知識がないと、このチェックリストをチェックする能力すらありません。
このチェックリストを、「YES」で埋める為には、会計事務所は、お客様から十分な資料提供を受けた上で、それを理解し、最新の会計基準に基づいて、適切な処理を行わなくてはなりません。
この作業には、知識と時間が必要で、「YES」を意識していない決算書から比べると、ひと手間も、ふた手間も必要になります。
それゆえに、このチェックリストが「YES」で埋まっているかどうかは、会計事務所の力量と、きちんとした処理をしてくれているかどうかの指標になるといっても過言ではありません。
チェック項目⑬ 特に減価償却は金融機関が厳しくチェックするポイントですが、NOになっていませんか
この指針ができる前は、ほとんどの中小企業が、税法基準による決算書を作成していました。
税法は、その必要性から、費用になるものには厳しく、そうでないものに関してはあまく出来ています。しかし、税法基準では「良し」される決算書でも、会計基準からみると「ノー」とされる場合があります。
その代表例が「減価償却費」です。
法 人税法で減価償却費は、「法定償却限度額」以下の金額で経費処理されていれば、どんな金額でも費用として認めることとなっています。 赤字になりそうな場合に、決算書の見かけをよくするために、減価償却費を少なくし、利益を出したとしても、法人税法上は何のお咎めもありません。
そこで、金融機関は、このような状態を織り込んで、決算書を評価するのが当たり前になっていました(今でも余り変わりません)。
しかし、いい加減な前提条件をもとに作られた決算書では、金融機関は、決算書に書いてある利益が、去年と同じ基準であればどうだったのかを判断することができません。
その様な理由から、金融機関は「減価償却が法定限度額いっぱいまで行われているか」 を、決算書の信憑性を図る一つの指標として、捉えるようになったのです。
従って、ここが「NO」になっていると、金融機関から厳しい追求を受ける可能性があります。
[勘定科目内訳明細書]
決算書の主に貸借対照表の勘定科目の内訳明細です。
各勘定科目の残高が、何から構成されているのかを精査・検討する作業が、決算書作成の大部分を占めています。
そういった意味では、この書類こそが、会計事務所にとっての決算書の中心書類といっても過言ではありません。
チェック項目⑭ 金融機関名/支店名は合っていますか
チェック項目⑮ 預金残高は合っていますか
決算書において、「現預金等」・「借入金及び支払利子」の内訳書は、金融機関自身が見たときに、自分自身で残高が合っているかどうかを確認できる項目です。
また、金融機関は、自行シェアがどうかということは、非常に重要な要素なので、金融機関は必ずこの、「現預金等」・「借入金及び支払利子」の内訳書には目を通します。
最近は、金融機関同士の統廃合や、支店の統廃合が多いので、毎年、金融機関名・支店名が合っているかどうかを確認する必要があります。
このチェック項目において、間違いあるというのは、「当社は貴行から融資を受けるつもりはありません」言っているのと、同じことと考えてください。
先述したとおり、融資の審査担当は、膨大な量の決算書に目を通し、非常に、決算書を見る目が肥えていますので、こういったミスを非常に気にする傾向があるという話も聞こえてきます。
金融機関が「貸したくない」と、考えている場合には、こんなところのミスをつついてくることもあると聞きます。
また、「金融機関が、記載されている順番を気にするのではないか」という考えから、メインバンクを一番上に書いて欲しいという要請を会社から受けることもあります。
それはそれで結構かと思いますが、1番がここだと2番はどこだ…という風にキリがなくなりますので、弊社では、指定がない限り、金融機関はすべて50音順で並べることに統一しています。
チェック項目⑯ 決算書と各勘定科目の残高は合っていますか
チェック項目⑰ 全ての取引先の住所が記載されていますか
チェック項目⑱ 期末残高が降順等で整然と並べられていますか
チェック項目⑲ 期末残高が0円となった取引先が記載されていませんか
チェック項目⑳ 期末残高がマイナスとなっている取引先が記載されていませんか
チェック項目㉑ 何年も同じ残高の取引先がありませんか
売掛金(未収入金)・仮払金(前渡金)・買掛金(未払金・未払費用)・仮受金(前受金・預り金) 他、内訳明細書全般に係るチェック項目です。
内訳明細書は、大体「取引先・住所・金額・取引内容」から構成されています。
チェック項目⑯「決算書と内訳明細書の残高があっているか」
は、大前提です。
これを全て会社でチェックするのでは大変です。
会計事務所に何のためにお願いしているのだろう?
ということに、なり兼ねませんので書きたくなかったのですが、決算書と内訳明細書の残高が異なっていることがたまにあります。
ご自身の会社の決算書なので、責任は最終的には、会社自身がとることになります。
できれば、チェックをお願いいたします。
以下チェック項目⑰から⑱を一言でいうなれば、「明細が見やすい形で明瞭に並んでいるか」ということです。
先述の通り、この勘定科目内訳明細書は会計事務所にとっては、決算処理作業の中心的な部分なので、この書類がきれいにできているかどうかで、その会計事務所の力量が量れるといっても過言ではありません。
チェック項目⑰を満たしていない場合、名前は分かっているけど、住所が分からない取引先なんてあるのか?という疑義を生むことがあります。また、会社の管理能力を問われかねません。
チェック項目⑱は、その他、理由が付くような基準で、整然と並べられていれば問題と思います。「現預金等」のところでも述べましたが、例えば、50音順などが考えられます。
チェック項目⑲は、あえて0円残高を残しているのでなければ、ひと手間を惜しんだ処理になっているといっても過言ではありません。
チェック項目⑳は、簿記の仕組上の問題です。簿記ではマイナス残高というのはありえませんので、見る人が見れば分かります。やはり、これもあえてマイナスを表示しているのでなければ、ひと手間を惜しんだ処理になっているといっても過言ではありません。
チェック項目㉑は、金融機関のチェックポイントです。
何年も同じ取引先が同じ残高で記載されていると、それはいわゆる「不良債権」と見なされる可能性が高くなります。
特に、税法基準は貸倒処理の要件が厳しいので、回収可能性がないのに、税法基準を満たさないがゆえに、決算書に何年も同じ残高が記載されていることがあります。
この様な取引先に対する残高は、法的な保全または処分を行えるように、会計事務所から指導を受けましょう。
また、隠し立てすることなく、「長期滞留債権」等の科目に振替えるとともに、貸倒処理または貸倒引当金を引当てることにより、金融機関に適切な処理をしているということをアピールすることが大切です。
敢えて、会社にとってマイナスになることを進んで行うことによって、金融機関から信用してもらえるように仕向けるのです。
チェック項目㉒ 役員への貸付金が、多額かつ長期にわたって計上されていませんか
貸付金及び受取利息の内訳書についてです。
役員または株主に対する貸付金が、多額かつ長期にわたっている計上されている場合、金融機関はこの金額を自己資本から差引きます。
貸付金を自己資本から差引くと、実質的に債務超過になる企業もあります。
最近は、この点を金融機関と信用保証協会が非常に厳しくチェックしている傾向があります。
事業に関係する個人所有の資産を会社に売却することがでれば、個人的に資金を用意する必要なしで解消できます。
そ れが無理であれば、このような貸付金を保険積立金に振替えることによる解消プランが、ING生命やオリックス生命にありますので、この様なスキームを使っ て解消する方法を検討してみるのも一つだと思います。ただし、この場合、個人でローンを組むことになりますので、個人的な資金が必要となります。
上記2法がとれない最悪の場合、個人との弁済計画を作成し、それを金融機関に提出して、何とか認めてもらうしかありません。
この場合、金融機関はこの点を継続ウォッチしますので、この計画にそって弁済がなされない場合、「約束を守れない会社=貸しても返してくれない会社」の烙印を押されてしまいますので、注意が必要です。
金融機関/税務署から決算書の評価を上げるポイント25 その5 に続く
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