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2009年06月14日

平成21年版 税額最小役員報酬

平成21年度法人税改正で、800万円以下の所得に対する税率が、22%から18%に引き下げられました(2年間限定)。

 

法人所得800万円以下の税率が変わっただけですので、平成20年版 税額最小役員報酬で申し上げた

役員報酬は110万円以上にするな

に変わりはありません。

 

今回の改正での影響を一言で申し上げると

役員報酬差引前で1,000万円以下なら役員報酬を取るな!

ということになります。

 

そしてこれは、ここ十数年間において「節税策」としてとられてきた、「役員報酬」を調整することによる「社外において実質的内部留保」策に意味がなくなったという傾向がさらに強まったということを意味しています。

 

本当にお金を残したいのであれば、 役員報酬差引前で1,000万円以下なら役員報酬を取るな!役員報酬は110万円以上にするな!です。

特に、法人税は確定申告と中間申告の2回でまとまった額が出て行くので、支払時には分かっていても、「もう少しどうにかならないものか 」と考えがちになります。

しかし、これは、単に計画性の問題です。

今回の税率改定により、役員報酬差引前所得1,000万円の会社においては、296,200円も法人税額が引き下げられています。

 

この恩恵を享受したいならば、また、1度にまとまった金額を支払うのが嫌ならば、積み立てておけば良いのです。

 

確かに役員報酬を引上げれば、法人税を下げることは可能です。

しかし、法人税の引下げ額を上回る所得税+社会保険料がまっていることを忘れないで下さい。

 

最近、私が顧問をさせていただくことになった会社の社長から、

「以前の先生には、役員報酬をドンドン払って法人税を節税しましょうと指導されてきたけど、先生に変わってからは、会社に利益を残すようになったので、銀行からの評価が上がった」

と、言われることがありました。

 

確かに、それはあると思います。

しかし、これは、借入をしやすくするために、無理に法人で利益計上をしたわけではありません。

今の税制では、法人に利益を残すほうが有利だからなのです。

法人でしっかり利益を残すことができ、かつ、それでいて節税になっている。

それが今の税制です。

 

この機会に、しっかりと「内部留保」を心がけ、借入金の圧縮に努められてはいかがでしょうか。

 

 

冒頭のグラフは各可処分所得に対する税額最小の役員報酬を表しています。

以下、表にまとめました。

可処分利益役員報酬月額会社利益会社税金等個人税等税総額
1,000,000100,000
-200,000139,176
148,676
287,852
5,000,000
100,000
3,800,000
1,063,416
148,676
1,212,092
10,000,000
100,000
8,800,000
2,438,576
148,676
2,587,252
15,000,000
500,000
9,000,000
2,880,660
1,240,180
4,120,840
20,000,000
700,000
11,600,000
4,051,550
2,002,850
6,054,400
25,000,000
900,000
14,200,000
5,193,550
2,738,780
7,932,270
30,000,000
1,100,000
16,800,000
6,335,850
3,592,850
9,925,700
35,000,000
1,100,000
21,800,000
9,406,650
3,592,85012,999,500
40,000,000
1,100,000
26,800,000
11,492,850
3,592,85015,085,700
45,000,000
1,100,000
31,800,000
13,578,950
3,592,85017,171,800
50,000,000
1,100,000
36,800,000
15,665,050
3,592,85019,257,900
55,000,000
1,400,000
38,200,000
16,355,870
5,094,350
21,450,220
60,000,000
1,800,000
38,400,000
16,539,270
7,055,150
23,594,420
65,000,000
1,100,000
51,800,000
22,353,650
3,592,850
25,946,500
70,000,000
1,100,000
56,800,000
24,482,950
3,592,85028,075,800
75,000,000
1,100,000
61,800,000
26,612,250
3,592,85030,205,100
80,000,000
1,100,000
66,800,000
28,741,550
3,592,85032,334,000
85,000,000
1,100,000
71,800,000
30,870,850
3,592,85034,463,700
90,000,000
1,100,000
76,800,000
33,000,150
3,592,85036,593,000
95,000,000
1,100,000
81,800,000
35,129,450
3,592,85038,722,300
100,000,000
1,100,000
86,800,000
37,258,7503,592,850

40,851,600

 

法人課税所得800万円以下の中小企業の優遇税率の恩恵を受けられる、可処分所得1,000万円以下のゾーンにおいては、税額が最小となる役員報酬は月額10万円になりました。また、可処分所得1,500万円以上については、平成20年版 税額最小役員報酬と全く同じなので、解説と対策はこちらをご覧下さい。

 

最後に、この税率引き下げを目当てに、法人化を考えるべきかについてです。

確かに、今、個人事業を行い、所得税を支払っている事業者は、今回税率が引下げらた所得800万円以下のゾーンに当てはまることが多いと思います。

しかし、今回のこの税率引下げは、景気対策なので、2年間の時限立法ということを忘れてはいけません。

2年後にまた継続になる可能性もあります。

しかし、2年後、元の税率に戻った場合を考えると、会社設立費用約30万円と税理士報酬のアップ分は、2年間の節税額592,400円(報酬差引前所得1,000万円の場合) を上回る可能性が多いと思います。

私、個人の予測では、2年後に税率は元に戻ると考えています。

「これを機会に法人なり」 と、考えていらっしゃる個人事業者がいらっしゃるようでしたら、慎重に進められることを、お勧め致します。

 

計算に使った前提条件は以下のとおりです。 

前提条件 
・法人税計算上の課税所得は計算を簡略化しています 
・事業税は軽減税率適用法人を前提としています 
・住民税率は標準税率を適用しています 
・住民税均等割は計算の考慮に入れていません
・個人税の中には「社会保険料」が入っています 
・事業税の外形標準課税適用法人を対象としていません 
・社会保険加入法人を対象としています 
・所得税の計算においては、給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除以外の控除は考慮しません
・社会保険料は介護保険なしとしています
・各計算の簡略化のため、端数処理が実際の計算とは異なることがあります
・事業税の減税効果を法人税の計算上考慮しました
・所得税の税率はH19.1.1現在のものを使用しています

 

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投稿者 松波 竜太 on 2009年06月14日 08:54

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