平成20年版 税額最小役員報酬
※ごらん頂いている内容は平成21年度税制改正により、内容の一部に現行税制にそぐわない部分がありますので、ご注意ください(詳しくは平成21年版 税額最小役員報酬を参照)。
平成19年度の税制改正を加味したシミュレーションを行いました。
平成18年度において、特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入対策と称して行ったシミュレーションの続編になります。
平成19年度に行われた(申し訳ありません。だいぶ遅くなりました…)主な改正点は以下のとおりです。
- 同族会社の留保金課税制度について、適用対象から中小企業(資本金等が1億円以下の会社)を除外する。
- 実質的な一人会社(特殊支配同族会社)のオーナーへの役員給与の一部を損金不算入とする制度について、適用除外基準である基準所得金額を1,600万円(現行800万円)に引き上げる。
いずれも、法人税については減税効果のある改正となっています。
シミュレーション結果を一言で表すとするならば(正確さには欠けますが)、
役員報酬は110万円以上にするな!
です。
冒頭のグラフは各可処分所得に対する税額最小の役員報酬表しています。
以下、表にまとめます。
| 可処分利益 | 役員報酬月額 | 会社利益 | 会社税金等 | 個人税等 | 税総額 |
| 1,000,000 | 100,000 | -200,000 | 139,176 | 148,676 | 287,852 |
| 5,000,000 | 300,000 | 1,400,000 | 708,928 | 653,828 | 1,362,756 |
| 10,000,000 | 300,000 | 6,400,000 | 2,229,628 | 653,828 | 2,883,456 |
| 15,000,000 | 500,000 | 9,000,000 | 3,244,500 | 1,240,180 | 4,484,680 |
| 20,000,000 | 700,000 | 11,600,000 | 4,426,950 | 2,002,850 | 6,429,800 |
| 25,000,000 | 900,000 | 14,200,000 | 5,568,850 | 2,738,780 | 8,307,570 |
| 30,000,000 | 1,100,000 | 16,800,000 | 6,711,250 | 3,592,850 | 10,304,100 |
| 35,000,000 | 1,100,000 | 21,800,000 | 9,782,050 | 3,592,850 | 13,374,900 |
| 40,000,000 | 1,100,000 | 26,800,000 | 11,868,150 | 3,592,850 | 15,461,000 |
| 45,000,000 | 1,100,000 | 31,800,000 | 13,954,350 | 3,592,850 | 17,130,000 |
| 50,000,000 | 1,100,000 | 36,800,000 | 16,040,450 | 3,592,850 | 19,633,300 |
| 55,000,000 | 1,500,000 | 37,000,000 | 16,255,570 | 5,584,550 | 21,840,120 |
| 60,000,000 | 1,900,000 | 37,200,000 | 16,438,870 | 7,575,170 | 24,014,040 |
| 65,000,000 | 1,100,000 | 51,800,000 | 22,739,250 | 3,592,850 | 26,332,100 |
| 70,000,000 | 1,100,000 | 56,800,000 | 24,868,550 | 3,592,850 | 28,461,400 |
| 75,000,000 | 1,100,000 | 61,800,000 | 26,997,850 | 3,592,850 | 30,590,700 |
| 80,000,000 | 1,100,000 | 66,800,000 | 29,127,150 | 3,592,850 | 32,720,000 |
| 85,000,000 | 1,100,000 | 71,800,000 | 31,256,450 | 3,592,850 | 34,849,300 |
| 90,000,000 | 1,100,000 | 76,800,000 | 33,385,750 | 3,592,850 | 36,978,600 |
| 95,000,000 | 1,100,000 | 81,800,000 | 35,515,050 | 3,592,850 | 39,107,900 |
| 100,000,000 | 1,100,000 | 86,800,000 | 37,644,350 | 3,592,850 | 41,237,200 |
計算結果をみて、今回もビックリしました…
皆様もご覧になってきっと驚かれるのではないでしょうか?
前回(特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入対策) も、税額最小となる役員報酬が実感と比べて結構小さかったので、驚いたのですが、今回はさらにそれを上回っています。
一番の理由は留保金課税適用対象から中小企業が除外されたことです。
表とグラフと元に分析結果を説明します。
(1) 可処分所得1,200万円以下
法人課税所得800万円以下の中小企業の優遇税率の恩恵を受けられる、可処分所得1,200万円以下のゾーンにおいては、税額が最小となる役員報酬は月額30万円になります。
(2) (1)を超え2,800万円以下
法人課税所得800万円超となるこのゾーンにおいては、「特殊支配同族会社の損金不参入」制度の適用を受けないように、役員報酬を可処分所得の1/2以下に抑えるのがポイントになります。条件を満たすように、税額が最小となる役員報酬は可処分所得とともに緩やかに上昇します。
(3) (2) を超え5,100万円以下
可処分所得5,100万円以下においては、役員召集を月額110万円に設定することにより、法人税率が個人の所得税率を下回ります。言い換えると、役員報酬年額1,320万円を超える税金等負担率は、法人税率よりも高いということになります。
(4) (3) を超え6,300万円以下
法人(国)税額が1,000万円以上になると、法人住民税の税率が上がります。可処分所得が5,100万円を超えて、6,300万円以下のこのゾーンにおいては、役員報酬月額を110万円に設定すると、法人税率のほうが高くなってしまいます。可処分所得に応じて、役員報酬月額を大きくすることにより、これを回避することができます。
このゾーンでは役員報酬月額が110万円を超えることになります。しかし、このゾーンにおいて、役員報酬を110万円にした場合の最大(機会)損失は、最大で256,670円で税額に対する影響は1.25パーセントに留まります。
(5) 6,300万円超
可処分所得が6,300万円を超えると、完全に法人税率が個人の所得税率を下回るので、再び、役員報酬を月額110万円に設定することによって、税額が最小となります。
いかがでしょうか?
私であれば、(4)のゾーンにおいても、税額に対する機会損失と、役員報酬の設定に失敗したときの税負担の増加のリスクを比較し、役員報酬設定を110万円にすることを勧めると思います。
繰り返しになりますが、留保金課税が中小企業において適用除外となったことが理由です。
そしてこれは、ここ十数年間において「節税策」としてとられてきた、「役員報酬」を調整することによる「社外における実質的内部留保」策に意味がなくなったということを意味しています。
中小企業の皆様
これからは、しっかりと「内部留保」を心がけましょう。
前回のシミュレーションとは若干前提条件を変えました。
前提条件は以下のとおりです。
前提条件
・法人税計算上の課税所得は計算を簡略化しています
・事業税は軽減税率適用法人を前提としています
・住民税率は標準税率を適用しています
・住民税均等割は計算の考慮に入れていません
・個人税の中には「社会保険料」が入っています
・事業税の外形標準課税適用法人を対象としていません
・社会保険加入法人を対象としています
・所得税の計算においては、給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除以外の控除は考慮しません
・社会保険料は介護保険なしとしています
・各計算の簡略化のため、端数処理が実際の計算とは異なることがあります
・事業税の減税効果を法人税の計算上考慮しました
・所得税の税率はH19.1.1現在のものを使用しています
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