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2006年09月13日

理にかなった生命保険(法人編2・仕入債務編)

理にかなった生命保険(法人編1・借入弁済編)に引き続いて、

会社を清算する場合を前提仕入や経費の代金支払

必要な保障を考えてみたいと思います。

借入弁済編でも説明しましたが、生命保険で準備しなくてはならない額は、税引後の金額となりますので、

借入金÷(1-税率)
となります。

今回は、リスクの大きさ(プロシージャ)の評価の考え方について見ていきたいと思います。

 

仕入や経費の支払は、通常時に、営業が正常に回っているのであれば、売掛金や受取手形の現金化等の売上債権を原資に支払えるはずです。

しかし、
bs180912.jpg
貸借対照表上の売上債権と仕入債務のバランスが、上の図のように「債権>債務」だからといって、サラッと支払が可能かというとそうではありません。

支払サイトの違いで、売掛債権が大きくなっているだけかもしれないからです。

 

たとえば、

 X1月 X2月 X3月 X4月 X5月 X6月 合計 
売掛金入金  20 20 20 15 15 10 100
買掛金支払  30 30     60
 差額 -10 -10 +20 +15 +15 +15 +40

上のような図の場合、売上債権の残高の方が大きくても、X1月・X2月は資金ショートを起こします。

さらに、

bs180913.jpg

このような「売上債権<仕入債務」というバランスの会社は資金ショートを起こす可能性がもっと高くなります。

少なくとも、売上を止めたばあいサイトに関係なく、100(仕入債務)-60(売上債権)=40だけは支払い不能となります。

季節変動はあるものの、毎期の売上は安定してる業種と売上が安定していない業種で対応が違います。当然、売上が不安定な業種の方がリスクは大きくなります。

つまり、

売上が不安定になるほど
売上債権の回収と支払債務の弁済のタイムラグが大きいほど
原価率が高ければ高いほど

資金ショートのリスクは大きくなります。

 

[1]売上安定型業種の資金不足額の計算

売上が安定している業種については、最大いくらショートするかの計算を実際にしてしまえばよいので、予測は比較的容易です。

 売上高の推移が

graph180913_1.jpg (クリックで拡大)

グラフのような会社があったとします。

x1.x2期の推移を見ると、季節変動があり売上がほぼ安定していることが分かります。

例えば、この会社が

原価率 80% 
売上債権のサイト 

6ヶ月(180日) 

仕入債務のサイト 2ヶ月(60日) 

であったと仮定すると、下の表が作成することが出来ます。

[単位:千円]

  売上 原価 回収 支払 回収-支払資金不足
 17373 13898    
 20342 16274    
 22932 18345  13898  
 21097 16878  16274  
 11495 9196  18345  
 20944 16755  16878  
10  31957 25566 17373 91968176 
11  27863 22290 20342 167553586 
12  22663 18130 22932 25566-2633 
 11623 9299 21097 22290-1192-3826 
 19187 15350 11495 18130-6634-7827 
 21328 17062 20944 929911645 
 14144 11315 31957 1535016607 
 14299 11439 27863 1706210800 
 21899 17519

 22663

 1131511347 
 18306 14645 11623 11439184 
 8973 7178 19187 175191667 
 18182 14545 21328 146456683 
10  22739 18191 14144 71786965 
11  27064 21651 14299 14545-246-246 
12  20457 16365 21899 181913707 
 13465 10772 18306 21651-3345-3345 
 20594 16475 8973 16365-7392-10737
 16433 13146 18182 107727409 
   22739 164756264 
   27064 1314613918 
   20457   
   13465   
   20594   
   16433   
 2月のマイナスの平均    -7013 

この会社は毎年2月に資金がショートします。運悪く12月に亡くなった場合には、2月の支払が難しくなるというわけです。

そこで、2期の平均9,282千円または大きい数値10,737千円を元に保険を用意すれば、まず安心ということになります。

2期分のデータでは不安なので、できれば過去5年程度の2月の資金不足のデータをとって傾向を見たほうがよいと思います。

 

[2]売上が不規則な場合の資金不足額の計算

売上の月合計の分布を調べて、モンテカルロ・シミュレーションによりショートする金額を予測します。

先ほどとは少々違うデータを用意しました。

  売上(千円) 原価(千円) 原価率
 1 39359 36652 0.931
 2 2822 0 0
 3 3574 7111 1.990
 4 38648 15175 0.393
 5 5302 7087 1.337
 6 12420 9960 0.802
 7 51544 23720 0.460
 8 35839 6394 0.178
 9 56570 29701 0.525
 10 31782 114171 3.592
 11 2804 992 0.354
 12 20576 24257 1.179
 13 5814 11541 1.985
 14 0 10054 1.0
 15 2420 7265 3.002
 16 20099 19370 0.964
 17 2808 2602 0.927
 18 77735 66719 0.858
 19 77823 63295 0.813
 20 17107 11425 0.668
 21 40506 31030 0.766
 22 3584 8312 2.319
 23 4280 9573 2.237
 24 4287 5929 1.383
 25 26619 13238 0.497
 26 6306 18772 2.976
 27 19453 34155 1.756
 28 19345 25370 1.311
 29 68884 477292 0.687
 30 81301 70049 0.862
 31 55657 53510 0.961
 32 76036 109228 1.437
 33 242142 152762 0.631
 34 5617 5464 0.973
 35 42137 22192 0.527
 36 21813 10678 0.490
 平均 33973  1.160
 標準偏差 43903  0.833
 

計算 条件は
原価率 平均1.160 標準偏差0.833 
売上債権のサイト 

6ヶ月(180日) 

仕入債務のサイト 2ヶ月(60日) 

としました。

売上高と原価率の正規乱数を、上記の表をもとに平均と標準偏差をもとに発生させて、エクセルの分析ツールの乱数の発生を使い、それぞれの入金・支払サイトに合わせて計算した場合の不足額の最大値をヒストグラムにしたものがしたのグラフです。

乱数発生ダイアログの設定
ransu180913.jpg

資金不足額のヒストグラム
short_graph180913.jpg

シミュレーション回数10,000回では、平均33,013千円の不足(標準偏差87,066千円)、最大不足額207,625千円となります。

最頻値は0ですが、累積度数グラフから分かるとおり、資金不足を90%カバーするには150,000千円を80%でも100,000千円、つまり、平均で月商の1か月分、月商3ヶ月でカバー率80%、月商4.5ヶ月分を用意しておかなければならないことが分かります。

 

最後に付け加えておきたいのが、当然ですが、前受金をもらっている場合に事業を辞める場合には前受金の返還も考えておかなくてはならないのでご注意ください。

 

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投稿者 松波 竜太 on 2006年09月13日 13:52

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